お子さんが学校に行けなくなってからの給食費について、支払いを止められたらいいなとお困りの方がいらっしゃるのではないでしょうか。結論、不登校中の給食費は基本的に支払いを止めることが可能です。
支払いを止めるための手順や、欠席し始めて何日目から止められるかなど、自治体によって異なる場合があります。また、不登校中の給食費の返金や、給食費以外に停止できる支払いについて、解説していきます。
毎月の給食費と支払い停止の手順
続いて、学校の給食費が月々いくらくらいかかっているのかと、長期欠席中に給食費の支払いを停止する手順について解説したいと思います。
給食費は毎月どのくらいかかるのか
文部科学省によると、公立の小学校および中学校において保護者が負担する学校給食費の平均月額は、小学校で4,477円、中学校で5,121円です。年間でみると小学校は49,247円、中学校は56,331円となります。
令和3年度の平成30年度を比べると、小中学校共に金額が微増していることがわかります。
また昨今の物価高に伴い、自治体によって給食費の値上げを実施しており、保護者の負担はますます重たくなっていきそうです。自治体によっては学校給食費の無償化が実施されていますが、全国で4.4%(76の自治体)しか実施されておらず、まだまだ給食費の支払いは続く方が多いのではでしょうか。
参考:文部科学省|学校給食実施状況等調査
参考:文部科学省|調査結果ポイント/調査結果について
給食費の止め方や返金について
それでは、給食費の止め方について調べていきましょう。先述の通り、基本的に不登校のお子さんの給食費を止めることは可能です。
まず、文部科学省のガイドラインに書かれている内容についてみていきます。
(前略)全児童・生徒及び教職員のうち、長期欠席等により学校給食の提供を受けない者がある場合、その個別の状況を把握して減額処理を行う
文部科学省|学校給食費徴収・管理に関するガイドライン
必要があります。この個別の状況の把握は、学校から情報を収集して行う必要があることから、留意が必要です。具体的には、個別の状況に応じて適切なタイミングで学校から教育委員会に報告してもらう必要がありますので、教育委員会から学校に対して、報告の方法を示すなどして周知を図る必要があります。教育委員会では報告を受けて、各児童・生徒単位で学校給食費の減額処理(システム等に入力)を行うこととなります。
まとめると、文部科学省としては不登校などの事情により長期欠席をやむなくされたお子さんの家庭に対して、学校給食の減額を行う方針を示しています。減額の手順については具体的でないですが、学校側から教育委員会に報告をして、教育委員会で処理対応をする必要があることが記載されています。
保護者の方がお子さんの不登校や長期欠席によって給食費を止めたい場合、まずはお子さんの状況と給食費を止めたい旨を学校や担任の先生に伝えましょう。給食費の停止までの日数や手順については、自治体によって異なる可能性があります。
例えば神戸市ではおおむね7日以上の長期欠席の場合、事前に連絡をすることで給食の発注を止めることができ、事前に費用が納入されている場合は欠席期間中の給食費を返金してくれます。ただし、発注を止めるには最短で5営業日が必要となるため、注意が必要です。
品川区では給食実施日を連続して 5 日以上欠席する場合、届出があれば返金を行うと規定されています。既定の「欠食届」が提出された日の次の給食実施日から2日目以降分を返金の対象としています。
(参考)文部科学省|学校給食費徴収・管理に関するガイドライン
(参考)神戸市|学校給食費
(参考)品川区教育委員会|欠席による給食費の返還について
不登校中の給食費に関する疑問と解決策
お子さんが登校できない間の給食費についてのよくある疑問をまとめてみました。
不登校後の給食の再開方法
お子さんが再び学校へ行けるようになったら、学校を届け出を行い給食を再開してもらいましょう。届け出の手順も自治体や学校によって異なる場合がありますが、担任の先生に確認してみるといいでしょう。
給食費の支払いに関する相談は早めに学校へ
「時々学校へ行きたいって言うんだけど、そんな時の給食はどうしたらいいんだろう?」という疑問も不登校あるあるかもしれませんね。結論、こういった事も含めて早めに学校へ相談しておくことが大切です。
学校は生徒が通学してくれることが一番の喜びですので、時々の通学時の給食についても何とかしようと尽力してくれるでしょう。学校側にも手配や準備が必要ですので、早めに相談することが親切ですね。
不登校中に支払わなくてもよい給食費以外の費用
学校に行かない期間が長くなると、その間に発生する費用は様々あります。もちろんお子さんの状況や意向に応じてですが、支払わなくてもいいものがあることも把握しておきましょう。
不登校で支払わなくてもよい費用の例①:教材費
学校によっては、5教科分の教材のみ購入して自宅学習させるなどの対応をしてくれます。早めに学校へ相談しながら、お子さんの意向にも合わせて、必要のない副教科の教材や模試の費用、遠足費などは支払わなくてもいいようにしましょう。
不登校で支払わなくてもよい費用の例②:遠足や修学旅行の費用
修学旅行はお子さんと話し合い、欠席する場合は早めに学校へ連絡をしましょう。直前や当日の連絡の場合、大部分の返金が難しくなることもありますので気を付けましょう。部活動については長期的に参加が難しい場合は、休部や退部を相談してみましょう。
学校に相談せず、勝手に給食費の支払いを停止してはダメ!
お子さんが学校へ行けなくなり、給食費などの支払いを止めたい場合は必ず学校へ相談しましょう。学校へ行けなくなったことに対して保護者の方も色々と思うところがあったり、学校へ不信感を抱くこともあるかもしれませんが、それでも所定の手続きを経てきちんと給食費の停止を行わない場合、給食費の納入義務が発生します。
もしきちんと手続きをせずに給食費を滞納し続けた場合、学校側からは以下のような対応や処置を行われる可能性があります。
①督促
期限までに給食費の支払いが行われない場合、まずは給食費を支払うように命ずる督促が行われます。これを無視すると、次に記載する強制執行等へとつながります。
②強制執行等
督促をされた後、定められた期間内になお支払いがない場合は、強制執行等によって支払いを行ってもらうよう学校側が請求をしなければなりません。(地方自治法第 240 条第 2 項、地方自治法施行令第 171 条の 2 で定められています。)
原則として訴訟手続きを行うことになっています。
近年、自治体によってはきちんと債権の回収に向けての動きを強化しています。これは学校給食の公正・公平性を確保するために必要なことです。東京都稲城市では、2019年~2021年までの間、計24件、総額1,621,060円の滞納に対して回収のための法的措置をとっています。
お子さんが学校へ行けなくなったら、きちんと給食費の支払いを停止するための手続きを完了されることをおすすめします。
(参考)稲城市|学校給食費の滞納がある方への法的措置を実施しています
まとめ
お子さんが不登校になった時、以下の費用の支払いについては学校側へ相談し、支払わなくてもよい費用は停止してもらいましょう。
・給食費
・教材費
・修学旅行や遠足費
支払いの停止や再開については早めに学校へ相談し、お子さんが学校へ復帰しやすいように良好な関係を築いておくことも大切です。
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【出典一覧】
1.文部科学省|学校給食実施状況等調査
参考箇所|給食費は毎月どのくらいかかるのか
2.文部科学省|調査結果ポイント/調査結果について
参考箇所|給食費は毎月どのくらいかかるのか
3.文部科学省|学校給食費徴収・管理に関するガイドライン
参考箇所|給食費の止め方や返金について
4.神戸市|学校給食費
参考箇所|給食費の止め方や返金について
5.品川区教育委員会|欠席による給食費の返還について
参考箇所|給食費の止め方や返金について
6.稲城市|学校給食費の滞納がある方への法的措置を実施しています
参考箇所|学校に相談せず、勝手に給食費の支払いを停止してはダメ!