お子さんが突然「学校に行きたくない」と言い出したら、親としてどう対応すればよいのでしょうか?
朝になるとお腹が痛くなる、準備をするのを嫌がる、泣いて訴えるなど、さまざまなサインが見られることがあります。こうした「行き渋り」は、小学生・中学生・高校生それぞれの成長段階によって理由が異なります。
いじめや友人関係の悩み、勉強のプレッシャー、先生との関係、家庭環境の変化など、お子さんが学校を嫌がる原因はさまざまです。しかし、時には本人ですら理由がわからないこともあります。
保護者として大切なのは、お子さんの気持ちを受け止め、無理に登校させようとせず、適切なサポートを考えることです。
本記事では、年齢ごとの「学校に行きたくない理由」や、理由がわからない場合の対処法、親子それぞれのNG行動、そしてお子さんのストレスを軽減しながらサポートする方法を詳しく解説します。お子さんが安心して毎日を過ごせるよう、一緒に考えていきましょう。
「学校に行きたくない」と思っても大丈夫。不登校は甘えじゃない
不登校は、さまざまな背景が複雑に絡み合うことによってたどり着いた状態です。
不登校の時間は、心身を休めるための大切な時間となったり、自分自身がどうしたいかなどを改めて考えることで、これからの学び方や考え方を広める機会にもなります。
不登校になること自体は問題行動ではありませんが、現実的な問題として学習の進度や出席日数のことなど、いくつか知っておいたほうがいい点があるのも事実です。
しかし、「学校に行きたくない」と思っている状況にいるお子さんは決して余裕がある状況ばかりではないでしょう。
「とにかく今は心身を休めたい」という気持ちが強いお子さんがそういったことまで考えるのは大変かもしれません。
したがって「学校に行きたくない」と思った場合には、現実的なことも含めてこれからどうしていくかを家族で一緒に考えられるような機会を持つことが大切です。
一人で考えていると、自分の知っていることの中だけで考えなくてはいけなかったり、「こうしなくてはいけない」と自分の中の常識にとらわれてしまうこともあるからです。
誰かに話すことで、自分自身が抱えている問題や悩みを整理することができたり、自分の中にはなかった考え方や視点に触れることで視野が広がると、今自分が抱えている困りごとを解決するヒントを見つけることもできるかもしれません。
小学生が「学校に行きたくない」理由
小学生の「学校に行きたくない」という気持ちは、主に環境の変化や対人関係の不安から生じることが多いです。具体的な理由としては、以下のようなものがあります。
友達とのトラブルやいじめ
友達関係のすれ違いや、遊びの中での小さなトラブルがきっかけで、学校に行きたくなくなることがあります。
特に、いじめや仲間外れにされることへの不安は大きな要因です。
先生や授業への不安
厳しい先生や授業についていけないことにストレスを感じ、学校を避けたくなる場合があります。
特に算数や国語など、苦手な教科が増えてくる中学年以降は、学習に対する苦手意識が不登校につながることもあります。
生活習慣の乱れや体調不良
生活リズムが乱れると、朝起きるのがつらくなり、学校に行く意欲が低下します。
また、成長過程において、頭痛や腹痛などの身体的な不調が現れ、学校に行きたくないと訴えるケースも少なくありません。
家庭環境の変化
引っ越しや兄弟の誕生、親の仕事の変化など、家庭の状況が変わることで、お子さんがストレスを感じ、学校に行きたくないと感じることがあります。
中学生が「学校に行きたくない」理由
中学生は思春期に入り、心と体の変化が大きくなる時期です。
学校生活だけでなく、自分自身に対する不安や将来のことを考え始めることが、「学校に行きたくない」理由につながります。
友人関係の複雑化
小学校に比べて人間関係が複雑になり、友人同士のグループ形成やSNS上のトラブルなどが影響して、学校に行くのがつらくなることがあります。
成績や受験のプレッシャー
定期テストや高校受験に対するプレッシャーが増し、学習についていけない焦りから学校を避けるようになるケースがあります。
特に、保護者や先生からの期待がプレッシャーとなり、ストレスを感じやすくなります。
部活動の負担
部活動に熱心に取り組む一方で、厳しい指導や上下関係のストレス、試合でのプレッシャーが原因となり、学校全体に対する意欲が低下することもあります。
自己肯定感の低下
思春期特有の悩みとして、「自分は周りと違うのではないか」「どうせ自分はダメだ」といった自己否定感を持つことがあり、その結果として学校生活が苦痛になる場合があります。
家庭とのコミュニケーション不足
思春期になると保護者との会話が減ることが多く、自分の悩みを相談できずに抱え込んでしまうケースが増えます。この孤独感から学校へ行く気力がなくなることもあります。
高校生が「学校に行きたくない」理由
高校生になると、さらに将来を意識した選択が増え、自分の進路や人間関係に対する悩みが深刻になりがちです。以下のような理由が、不登校の原因となることがあります。
進路や将来に対する不安
「自分のやりたいことがわからない」「大学や就職に向けて何をすればよいかわからない」といった漠然とした不安が、学校に行く意欲を削いでしまいます。
学業の負担増加
授業内容が高度になり、成績不振や受験勉強のプレッシャーから、学校を避けるようになることがあります。
特に進学校では競争が激しく、周囲と比較して落ち込むこともあります。
人間関係のトラブル
クラスの雰囲気が合わない、部活動の上下関係が厳しいなど、人間関係の問題がより複雑化し、不登校につながることがあります。また、恋愛や交友関係の悩みも大きな影響を与えます。
社会との接点の広がり
アルバイトやSNSを通じて学校以外の世界を知ることで、「学校に行く意味がわからない」と感じることがあります。社会との接点が増えるほど、学校生活に対するモチベーションが低下するケースも見られます。
精神的なストレスやプレッシャー
高校生になると、精神的に大人に近づく一方で、自分自身を過度に追い込んでしまい、ストレスが限界を超えてしまうことがあります。この結果、体調不良を訴えて学校を休みがちになることもあります。
学校に行きたくない理由がわからない場合の対処法
お子さんが「学校に行きたくない」と言ったとき、理由を聞いても「わからない」「別に」とはっきりしないことがあります。
このような場合はどのように対応すればよいのでしょうか?
1. 無理に理由を聞き出そうとしない
お子さん自身が気持ちを整理できていない場合や、言葉にするのが難しいと感じていることがあります。「言いたくない」のではなく、「言えない」状態である可能性もあるので、焦って問い詰めるのではなく、「話したくなったら聞くよ」と伝え、安心して話せる環境を整えることが大切です。
2. お子さんの様子を観察する
理由がわからないときは、日々の様子を丁寧に観察してみましょう。たとえば、以下のようなサインを見逃さないことが重要です。
■朝になると体調不良を訴える(頭痛、腹痛など)
■食欲が落ちている、眠れない
■家では元気だが、学校の話になると不機嫌になる
■友達や先生の話を避ける
これらの行動から、お子さんが感じているストレスや不安のヒントを得ることができます。
3. 日常会話の中でさりげなく探る
学校に関することを直接聞くのではなく、日常の何気ない会話の中で「最近、好きなことある?」「学校で楽しいことあった?」など、ポジティブな話題からアプローチしてみましょう。
自然な会話の中で、お子さんが気になっていることを少しずつ話してくれるかもしれません。
4. 環境の変化を振り返る
最近の生活や学校環境に変化がなかったか振り返ってみることも重要です。
たとえば、クラス替え、先生の交代、家庭の事情(引っ越しや保護者の仕事の変化など)がお子さんに影響を与えている可能性があります。
5. 学校や第三者の協力を得る
担任の先生やスクールカウンセラーに相談し、学校での様子を確認してみましょう。
保護者には話せないことでも、第三者には話しやすい場合があります。また、友達や部活動の先輩など、お子さんに近い立場の人の意見も参考になるかもしれません。
6. お子さんのペースを尊重する
理由がわからないまま過ごすことに不安を感じるかもしれませんが、お子さん自身もどうしてよいかわからず混乱していることがあります。
無理に学校に行かせようとせず、しばらく様子を見ながら、お子さんの気持ちを受け止める姿勢を持ちましょう。
7. 「学校以外の選択肢」も視野に入れる
学校に行けない日が続く場合、フリースクールやオンライン学習など、学校以外の選択肢を検討することも一つの方法です。お子さんが安心して過ごせる環境を一緒に探すことで、少しずつ気持ちを整えることができます。
お子さんが「学校に行きたくない」と言う背景には、さまざまな要因が絡み合っています。親としては、子どもの心の声に寄り添いながら、焦らずにサポートしていくことが大切です。
学校に行きたくないときの子ども本人のNG行動
学校に行きたくないと感じたとき、無意識のうちに取ってしまう行動の中には、気持ちをさらに落ち込ませたり、状況を悪化させたりするものがあります。
保護者としては、お子さんがこうした行動に陥らないよう見守りながら、適切なサポートをしていくことが大切です。
1. 誰にも相談せずに一人で抱え込む
「学校に行きたくない」と感じたとき、誰にも相談せずに自分の中だけで悩んでしまうのはNGです。
悩みを言葉にせず放置すると、不安やストレスがどんどん膨らみ、状況が悪化する可能性があります。
家族や信頼できる大人、友人に少しでも気持ちを伝えることが大切です。
保護者のサポート
「どんなことでも話して大丈夫だよ」と安心できる環境を整え、無理に問い詰めず、お子さんが話しやすい雰囲気を作りましょう。
2. 無理に登校しようとする
「学校はどんなことがあっても絶対に行かなければいけない」という思いから、無理をして登校し続けるのもよくありません。
心や体に負担をかけることで、心身の不調が悪化し、さらに深刻な問題につながることもあります。
保護者のサポート
お子さんの気持ちに寄り添い、休むことが必要な場合は「少し休んでみよう」と提案し、安心できる時間を作ることが重要です。
3. 学校を避けるために嘘をつく
「お腹が痛い」「頭が痛い」など、学校を休むために体調不良を装ったり、理由を偽って保護者を心配させることも、避けるべき行動です。
短期的には逃げ道になるかもしれませんが、根本的な問題解決にはつながらず、親子の信頼関係にも影響を与えかねません。
保護者のサポート
体調不良を訴える場合は、しっかり話を聞いたうえで、お子さんの本当の気持ちに寄り添い、学校に行きたくない理由を一緒に探してみましょう。
4. 家でゲームやスマホに依存する
学校に行かない間、ゲームやスマホに没頭してしまうと、生活リズムが乱れ、さらに現実から逃避するようになってしまう恐れがあります。
気持ちの切り替えが難しくなり、学校に戻るタイミングを失ってしまうこともあります。
保護者のサポート
スマホやゲームをする時間を決めるなど、ルールを設けつつ、散歩や趣味の時間を取り入れて生活にメリハリをつけるサポートをしましょう。
5. 自分を責めすぎる
「自分はダメだ」「学校に行けない自分はおかしい」と自責の念にとらわれるのもNGです。
自己否定が続くと、さらに登校へのハードルが高くなり、心の負担が増えてしまいます。
保護者のサポート
お子さんが自分を責めている様子が見られる場合は、「学校に行くことだけが全てではない」と伝え、お子さんの良い面を見つけて励ますことが大切です。
お子さんが学校に行きたくないと感じたときは、焦らずに適切に対応することが大切です。
保護者としては、お子さんが上記でお伝えしたNG行動に陥らないよう、温かく見守りながら一緒に乗り越えていく姿勢を持ちましょう。
子どもが学校に行きたくないときの親のNG行動
お子さんが「学校に行きたくない」と言ったとき、保護者としては心配や不安から、思わず行動してしまうことがあります。
しかし、その対応が逆効果になり、お子さんの気持ちをさらに追い詰めてしまうことも。ここでは、避けるべき保護者のNG行動について解説します。
1. 無理に学校へ行かせようとする
「とにかく行きなさい」「休むのは甘えだ」と無理に登校を強要するのはNGです。
お子さんはプレッシャーを感じ、さらに学校への抵抗感を強めてしまう可能性があります。特に理由が明確でない場合、心の準備ができていない状態で無理に行かせることは逆効果です。
2. 叱責や否定的な言葉をかける
「怠けているだけじゃないの?」「みんな頑張ってるのに」など、お子さんを責めるような言葉は避けましょう。
自信を失わせたり、お子さんが「自分の気持ちはわかってもらえない」と感じ、親子関係が悪化する恐れがあります。
3. 過度に心配しすぎる
過度に心配し、「大丈夫?」「どうして行きたくないの?」と頻繁に問い詰めたり、細かく気にしすぎるのもNGです。
保護者が不安を抱えていると、その気持ちがお子さんに伝わり、「学校に行かなくてはいけない」と余計にプレッシャーを感じてしまいます。
4. すぐに学校や先生に解決を依頼する
お子さんが「学校に行きたくない」と言うと、すぐに学校や先生に連絡し、解決を求めたくなるかもしれません。しかし、お子さん自身がどうしたいのかを確認せずに大人が先回りして動くと、お子さんの気持ちを無視した対応になってしまいます。
まずはお子さんの気持ちを聞き、一緒に解決策を考えたうえで、必要に応じて学校と連携することが大切です。
5. 比較する発言をする
「〇〇ちゃんは頑張っているのに」「お兄ちゃんはちゃんと行けたのに」など、他のお子さんと比較するのは絶対に避けましょう。
お子さんは自分の気持ちを否定されたと感じ、さらに追い込まれてしまいます。
6. 放置しすぎる
お子さんが「行きたくない」と言い続けても、保護者が「そのうち行くだろう」と何も手を打たないのも問題です。
理由によっては、早期に対処しないと状況が悪化し、不登校の長期化につながる恐れもあります。
適度な距離感を保ちつつ、お子さんの様子を見守り、必要に応じて相談機関や学校と連携することを考えましょう。
不登校の子どものために親ができるサポート方法
お子さんが学校に行けなくなったとき、保護者としてどのようにサポートすればよいのか悩むことは多いでしょう。
不登校はお子さんの心のSOSの表れであり、保護者の関わり方がその後の回復に大きく影響します。
ここでは、不登校のお子さんを支えるために保護者ができる具体的なサポート方法を紹介します。
1. お子さんの気持ちを受け止め、安心できる環境を作る
不登校のお子さんは、学校に行けないことに対して罪悪感や不安を感じていることが多いです。
「どうして行けないの?」と責めるのではなく、「学校に行かなくても大丈夫だよ」「今はゆっくり休もうね」といった温かい言葉をかけ、安心できる家庭環境を整えましょう。
具体的なポイント
・お子さんが話しやすい雰囲気を作る
・学校に行かないことを責めず、お子さん本人の気持ちに寄り添う
・家庭が心のよりどころになるよう、安らげる時間を大切にする
2. 学校復帰を急かさない
「早く学校に戻らないと」と焦る気持ちは理解できますが、無理に登校を促すことは逆効果です。お子さん自身のペースを尊重し、心の回復を最優先に考えましょう。
具体的なポイント
・「休むことも大切」と伝え、安心させる
・無理にスケジュールを詰め込まず、ゆっくり見守る
・お子さんが学校に戻る意欲を持ったときに適切なサポートをする
3. 小さな成功体験を積ませる
学校に行けないことが続くと、自信を失ってしまうことがあります。
小さなことでもよいので成功体験を積み重ねることで、自己肯定感を高め、次の一歩を踏み出しやすくなります。
具体的なポイント
・家の手伝いや趣味など、できることから挑戦してみる
・「今日は外に出られたね」「しっかり話せたね」と小さなことでも言葉にして褒める
・オンライン学習や習い事など、学校以外の選択肢を探る
4. 生活リズムを整える
不登校が長引くと、昼夜逆転の夜型生活になったり、日中の活動量が減ることがあります。無理のない範囲で、少しずつ規則正しい生活リズムを取り戻すことが大切です。
具体的なポイント
・朝起きる時間や食事の時間を一定にする
・軽い運動や散歩を取り入れて体を動かす
・「昼夜逆転しないための習慣」を親子で一緒に考える
5. お子さんの興味や得意なことを伸ばす
学校以外でも学びの場はたくさんあります。お子さんが興味を持つことにチャレンジできるよう、趣味や習い事などを通じて、前向きな気持ちを育てていきましょう。
具体的なポイント
・絵を描く、読書、プログラミングなど、興味を見つける機会を提供する
・習い事やボランティアなど、社会とつながる機会を探す
・オンラインスクールなど、新しい学びの場を検討する
6. 学校や専門機関と連携する
保護者だけで悩みを抱え込まず、必要に応じて学校の担任の先生やスクールカウンセラー、専門機関と連携しながらサポートを進めることも重要です。
相談先の一例
・学校のカウンセラーや担任の先生
・不登校支援の専門機関や相談窓口
・地域の教育支援センターやフリースクール
子どものストレスを軽減するために親が意識すべきこと
学校に行きたくないと感じるお子さんは、さまざまなストレスを抱えています。
保護者が適切にサポートすることで、お子さんの不安を和らげ、安心できる環境を整えることが大切です。
ここでは、お子さんのストレスを軽減するために保護者が意識すべきポイントを解説します。
1. お子さんの気持ちに寄り添う
お子さんが学校に行きたくないと言うと、つい「頑張って行こう」と励ましたくなりますが、まずはお子さんの気持ちをしっかり受け止めることが大切です。
「どうして行きたくないの?」と問い詰めるのではなく、お子さんが話しやすい雰囲気を作り、気持ちを引き出してあげましょう。
コミュニケーションのポイント
・「そうなんだね」「つらかったね」と共感の言葉をかける
・無理に解決しようとせず、お子さんのペースに合わせる
・お子さんが話したくないときは無理に聞き出さず、見守る姿勢を持つ
・笑顔で接し、穏やかな会話を心がける
2. お子さんが安心できる選択肢を用意する
「学校に行くか行かないか」だけでなく、フリースクールや自宅学習、オンライン学習など、さまざまな選択肢があることを伝え、お子さんにとって安心できる環境を一緒に探していくことも大切です。
具体的な対応
・「学校に行かなくても学べる場所がある」ことを伝える
・無理に学校復帰を急がず、他の学びの場を検討する
・お子さんの興味に合わせた体験や学習の機会を提供する
3. 保護者が焦らず、ポジティブな姿勢を示す
保護者の焦りや不安は、お子さんに伝わりやすいため、できるだけポジティブな姿勢で接することが重要です。
「なんとかなる」「今は休む時間」と楽観的に考え、お子さんがプレッシャーを感じないように心がけましょう。
具体的な対応
・お子さんの成長を長い目で見守る
・小さな変化や努力を褒める
・自分自身のストレスケアも忘れず、リラックスする時間を持つ
まとめ
お子さんが「学校に行きたくない」と感じる理由はさまざまで、その背景には不安やストレス、自己表現の難しさなどが潜んでいます。
保護者としては、まずはお子さんの気持ちに寄り添い、無理に学校へ行かせるのではなく、一緒に解決策を模索する姿勢が大切です。
本記事で紹介したように、保護者ができるサポートは多岐にわたります。
お子さんが話しやすい環境を作る、安心できる居場所を提供する、さまざまな選択肢を提示するなど、一人ひとりに合った方法を見つけていくことが必要です。また、保護者自身も焦らず、長い目で子どもの成長を見守ることが大切です。
行き渋りや不登校は、一見すると不安要素に思えますが、その一方で、親子の絆を深めたり、お子さんが自分自身を見つめ直したりする貴重な機会でもあります。
お子さんの気持ちを尊重しながら寄り添い、一歩ずつ一緒に前進していきましょう。そして、必要に応じて学校や専門機関に相談し、周囲のサポートを活用することも忘れないでください。
お子さんが自分らしく生き生きとした未来を歩むために、保護者としてできることを一つずつ取り組んでいきましょう。
【監修者のコメント】
「不登校になりたい」という言い方ではないにしろ「学校に行かなくていいんだったら、自分も不登校になりたい。正直少し羨ましい」と思うお子さんの声を聞くことはあります。
「不登校になりたい」という言葉の裏には、今の毎日がしんどいからなんとかそこから抜け出したいという気持ちもあるのではないかと思います。
そんな時に「馬鹿なこと言っているんじゃない」と一蹴するのではなく、そこに込められた想いを聞いてくれる人がいるだけで救われた気持ちになることもあるでしょう。問題はまったく解決したわけではないにしても、自分のことをわかってくれる人がいることでなんとか頑張れると思える子もいるのではないかと思います。
また、誰かが自分の気持ちをわかってくれるという体験や自分を支えてくれる人がいるという体験は、大人になってからもその人の支えやサポートになることもあるのではないかと思います。
辛くても逃げてはいけないという考えに縛られたり、自分一人で抱え込んだり、誰も助けてくれないという気持ちは、自分の考えを狭めたり、気持ちを追い込んだり、諦めに繋がってしまうこともあるでしょう。
だからこそ、特に10代までの時期に、自分の想いをわかってくれる人がいることや、誰かが自分のことを気にかけてくれるという体験は大事だと私は思います。
本来はお子さんがそういう気持ちを溜め込まないで吐き出せるようにしておきたいところですが、なかなかそれが叶わないのが現状の場合も少なくありません。だからこそ、不登校でも大丈夫というメッセージを発信することが大事であると考えています。
その場所から逃げたくなる気持ちは決して恥ずかしいことではありません。自分が自分らしくいられることを大切にできる場所を探していくことは可能です。一人でそれを考えることが難しい場合は、専門家をうまく使うことも覚えておいてください。
更新日:2025/01/29