はじめに
近年、小学生・中学生の不登校児童は増加傾向にあります。それに伴って、小学生・中学生から環境を変えるために海外留学を選択される方が増えてきています。
海外留学によって不登校だったお子さんが劇的に変わり、日本の学校に復学したり、海外で進路を切り開いたりされるケースも多くあります。今日は不登校児童にとっての海外旅行のメリットやデメリットを解説します。
留学することで得られるメリット
留学によって視野が広がったり考え方が変わる
留学先の価値観や文化に触れることで、子どもにとってこれまで経験したことのない刺激になります。視野が広がることで、悩み苦しんでいた不登校についても、ちっぽけに思えるような心境の変化があるかもしれません。
異文化体験を通じて今までの自分から変わることができる
自分が生きてきた地域や、日本の感覚とは全く異なる文化を体験する貴重な機会です。特に海外は自分の気持ちや意見をきちんと伝えるため、自然と積極的なコミュニケーション能力が身につく可能性は高いでしょう。
将来に役立つ語学力の向上が 期待できる
早くから海外留学へ行くことによって、より語学力は向上しやすくなります。日常的に留学先の語学に触れることで、ネイティブレベルまで語学力が向上することもあります。帰ってきてからの復学やその先にある将来のキャリアのために、語学は堪能であるに越したことはありません。
成長と自己肯定感の向上の機会になる
留学先では今までとは全く違う環境の中で、親に頼らず自分で様々なことをクリアしないといけません。言葉も文化も違う環境の中で困難なことも乗り越えることで「自分もやればできるんだ」と自己承認することができ、強い自信を獲得することができるでしょう。
留学することのデメリットやリスク
数十万円~数百万円の費用がかかる
海外留学はどうしてもそれなりの費用が必要になります。数か月程度の短期間であれば30万円~50万円くらいで留学することも可能ですが、長期的かつ留学先の国によっては500万円程度必要になることもあります。不登校の留学の場合、留学のハイシーズンを避けることで、費用を抑えるということもできます。
日本の学業とシステムが違う
高校生などの場合、留学先での勉強を頑張ったとしても、日本の学校の卒業資格認定にはならない場合もあります。義務教育の機関も国によって違いがあります。卒業後にどのような進路に進みたいのかを考えてから留学先を決めたり、日本の通信制学校に在籍した状態で留学するという選択肢もあります。
文化・習慣の違いによるストレスで挫折してしまうことも
留学によって不登校に悩む自分を変えるというのは、一荒治療・ショック療法のようなリスクのあるものでもあります。日本でコミュニケーションに悩んできた子であれば、海外で言語も通じず、文化や価値観も違う相手と関わることは難しいことです。自分を変えたいと思い留学にチャレンジしたものの、ストレスになってしまい挫折する場合も少なくありません。
留学先を選ぶときのポイント
教育カリキュラムや環境の比較
留学を続けられるかどうかは、環境がお子さんに合うかどうかが重要です。お子さんの特性や何にストレスを感じるのかを探りながら、留学先の国や地域を決めましょう。
現地のサポート体制の充実度
留学先によっては、生活面や学習面、メンタル面を専属でサポートしてくれるカウンセラーがいることもあります。お子さんの状態や能力に合わせて、必要なサポート体制が整っているかをチェックしましょう。
まったく言葉が話せない留学先を選ばない
留学を経験した人は「留学すれば自然とその国の言葉が話せるようになる」わけではありません。記事を執筆している私も、海外で数か月の生活を送りましたが、その国の言語でコミュニケーションがとれるレベルには至りませんでした。ある程度の知識があったり、興味を持って学ぼうと思える言語圏へ留学しましょう。
留学先での生活が難しい場合は無理をさせないこと
先述した通り、不登校に悩むお子さんにとって留学は必ずうまくいくものではありません。強いストレスになり、途中で帰国したいと言い出すことは十分あり得ます。その時には無理をさせず、責めずに家庭に受け入れてあげることが大切です。
不登校児童の留学後の進路について
帰国して日本の高校や大学に進む
日本で学校に通いたいけれど、いじめなどで不登校に悩まれているお子さんが海外留学を選んだ場合、日本の高校や大学を選択されることが多いでしょう。帰国子女受験を使うケースも多くあります。
留学先の高校や大学へ進学する
日本の教育システムや文化に馴染めず海外留学を選択した場合、海外に馴染みそのままキャリアを海外で築くこともあります。イギリスやニュージーランドは自由な校風や学びの選択肢が多いため、お子さんが日本の教育を窮屈に感じているなどであれば、ご検討されてもいいかもしれません。
留学経験の活かし方
帰国子女枠で日本の大学に入学した後、語学力や海外での経験を活かして日本の企業で活躍される方もいらっしゃいます。不登校と留学という経験を活かして、留学の受け入れ先と日本の不登校に悩む方を繋ぐ活躍をされる方もいらっしゃるなど、不登校に悩むお子さんの将来の可能性をぐっと広げることができるでしょう。将来やりたいことや夢をお持ちのお子さんでしたら、その目的に合わせて留学先を選んでいきましょう。
不登校児童は海外留学で変われるケースも。注意点もあるので慎重に。
学校に行きたいけど行けない。どうしても今の学校に馴染めない。そんな悩みを抱える不登校のお子さんにとって、海外留学で環境をガラッと変えるチャレンジは、その後の人生や自分自身を変えるチャンスになります。しかし、必ずしも望んだ通りの結果や留学先を選べるわけではないので、注意深く慎重に、お子さんの状態に合わせて検討をしましょう。
望んだ留学先が見つかるとは限りません
お子さんの意欲や年齢、欠席期間中の過ごし方や語学力など、様々な要因によって選べる留学先は変わりますので、注意が必要です。
既往歴がある場合は留学承諾書を医師から発行してもらいましょう
海外留学は大きく環境が変わります。メンタル面への影響も大きいため、既往歴がある場合はかかりつけの主治医に英文の留学承諾書を発行してもらいましょう。
まとめ
今日は不登校のお子さんが海外留学をする場合のメリット・デメリットについて解説しました。大きな環境の変化によって自分自身を変えたい、将来の夢のためにチャレンジしたいというお子さんの意欲があれば、ぜひご参考にしてみて下さい。
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【出典一覧】
*1 不文部科学省|令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
参考箇所:冒頭箇所