お子さんが不登校となってしまったら「できる限り原因を解決してあげたい」と思う保護者もいるでしょう。しかし、お子さんが小学生の場合、自分の気持ちをうまく言葉にして伝えられないことも多いものです。
そのため、「不登校の原因は何だろう?」「子どもに何をしてあげられるのだろう?」と悩む保護者も少なくありません。
そこで、この記事では、不登校状態となった小学生の心理について紹介します。また、不登校の小学生の家での過ごし方や保護者にできる対応方法まで幅広く解説しています。ぜひ参考にしてください。
小学校における不登校の現状は?
「まさかうちの子どもが不登校になるなんて思っていなかった」という保護者も多いかもしれません。不登校の児童数は年々増加しており、どのお子さんも不登校になる可能性はあるのです。
不登校の小学生は過去最多に
文部科学省の調査によると、令和3年度における小学校の不登校者数は8万1,498人にのぼり、過去最多を記録しました。この背景には、新型コロナウイルス感染症の流行により、家庭環境や学校生活、交友関係が変化したことによる影響も考えられます。
(*出典1)令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
[小学校の学年別:不登校の生徒数]
1年生 | 4,534人 |
2年生 | 7,269人 |
3年生 | 1万289人 |
4年生 | 1万4,712人 |
5年生 | 1万9,690人 |
6年生 | 2万5,004人 |
小学校6年生での不登校者数は、小学校1年生の不登校者数の約5.5倍にものぼり、学年が上がるにつれて不登校者数は増加していることがわかります。
小学生の不登校は長期化しやすい傾向
上記の文部科学省の調査では、90日以上欠席した生徒は、不登校の小学生全体の44.2%を占める結果となりました。
不登校が長期化すると「周囲にどう思われているかわからず学校に戻るのが怖い」「クラスに馴染めるか不安」「授業の遅れを取り戻せるか心配」などの理由から、学校復帰に対するハードルが高くなりがちです。
実際に、東京都が都内の全公立学校に行った調査によると、不登校の小学生の学校復帰率は、26.7%だとわかりました。
都内のみの調査結果ではあるものの、不登校の小学生にとって、学校への復帰は容易でないとおわかりいただけるでしょう。
不登校を長期化させないためには、お子さんの状況や不登校の原因に合わせて、早期に対応していく必要があるのです。
小学生が不登校となる原因
前提として、不登校を引き起こす原因が必ずしもひとつであるとは限らず、これらの要素が複数重なって学校にいけなくなることがあります。
(*出典3)不登校の現状に関する認識 文部科学省
不登校の要因は、いくつかのタイプに分類され、それぞれ対応についても変わることがあります。詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
▶日本の不登校の現状は?不登校7つのタイプの原因・解決方法も解説
その上で、小学生が不登校となる原因は主に3つに分類できます。
①学校に係る状況 | 入学・転編入学・進級時の不適応学校のきまり等をめぐる問題クラブ活動・部活動への不適応進路に関する不安学業不振教職員との関係をめぐる問題いじめを除く友人関係の問題いじめ |
②家庭に係る状況 | 家庭内の不和親子関係の関わり方家庭環境の変化 |
③本人に係る状況 | 無気力・不安生活リズムの乱れ・遊び・非行 |
いじめが不登校の原因だとイメージする方もいるかもしれません。しかし実際には、いじめが原因で不登校となった割合は、全体の0.2%にとどまる結果となりました。また、いじめよりも、いじめを除く友人関係の問題(6.1%)の割合の方が大きいとわかります。
1番多かった不登校の要因は「無気力・不安」によるもので、その割合は49.7%となりました。いじめや学業不振など、明確な理由がなくても不登校となってしまうお子さんが多いとわかります。
お子さんが無気力になってしまう原因はさまざまです。たとえば、自信のなさや自己肯定感の低さから気力がなくなり、学校を休みがちになってしまうお子さんもいます。
神経発達症(発達障害)の特性が原因で不登校になることも
神経発達症(発達障害)の特性が原因となり、不登校となってしまうことがあります。
神経発達症とは、先天的に脳機能の発達に偏りがみられる障害を指します。自閉症スペクトラム障害やADHD(注意欠如・多動症)、学習障害などは神経発達症の一種です。
神経発達症の特性の例は以下の通りです。
- 集団で行動することが苦手
- 上手くコミュニケーションを取ることができない
- 作業が遅いときがある
- 強いこだわりを持っている
- 読み書きや計算などが苦手
- 長時間じっとしていられない
上記のような発達障害の特性により、クラスにうまく馴染めなかったり、先生からよく怒られたりすることがあります。その結果として自信がなくなってしまい、学校に行く気力を失ってしまうのです。
神経発達症は、就学前から特性を指摘されることもあれば、小学校入学後に集団生活の中でその特性に気づくようなこともあります。
家庭ではあまり気にならず、学校での様子は見えないため、保護者自身はその特性に気づいていないケースも見受けられます。
その子の特性に合わせて早めにサポート体制を整えて行くことで、必要以上に辛くなったり傷ついたりする機会を減らすことにもつながることもあります。
対応が遅れてしまうと、自信をなくしたり、学校へのネガティブな認識が増し、不登校が長期化する恐れもあります。
学校の様子などを担任の先生とも共有し、上記のような特性が見られるのであれば、医療機関の受診なども検討してみてください。特性に応じて適切な支援を受けられることは、お子さんにとってもプラスとなることが多いでしょう。
(*出典2)不登校と発達障害:不登校児の背景と転帰に関する検討
不登校の小学生の心理は?
小学生のお子さんは、心のモヤモヤをうまく言語化できない場合もあります。そのため、お子さんがどのように感じているのかわからず、不安に感じる保護者も少なくありません。
そこで、ここでは不登校となってしまった小学生のお子さんの心理を解説します。
保護者と離れるのが不安
不登校となってしまうお子さんは、保護者と長時間離れることに強い不安感を抱いている場合があります。このように、保護者と離れることで精神的に不安定になってしまう状態を分離不安といい、とくに小学校低学年で多く見受けられます。
分離不安は、3歳までのお子さんに見られることが多く、成長とともに症状が消えていくものです。しかし、保護者が心配のあまりに過干渉気味になったり、過保護と思えるような関わりが日常になると、さまざまな問題が原因となり、お子さんが保護者から離れられなくなることがあります。
- 学校に行きたくないとしがみついて泣く
- 保護者の姿が見えないと過剰に不安がる
- 赤ちゃん返りをしてしまう
- 保護者が一緒であれば登校できることもある
上記のような特徴がみられるお子さんは、保護者と離れることに強い恐怖や不安を抱いている傾向にあります。
(*出典3)福岡市|児童・生徒の生活実態に関する調査結果
勉強についていけない
不登校となってしまった小学生の中には、勉強についていけないという悩みを抱えているお子さんもいます。勉強面に関する悩みは、小学校の中学年(3年生〜4年生)ごろから見られる傾向があります。
たとえば、お子さんは「テストの点数を友達と比べられ自信を無くしてしまった」「勉強がわからないのにどんどん授業が進んで不安」「勉強が嫌で学校に行く意欲がわかない」と感じているかもしれません。
勉強の遅れを放っておくとさらに授業についていけなくなり、ますます学校に復帰しづらくなるという悪循環が起こる場合があります。
人間関係に悩んでいる
学年が上がると、クラスの中でも仲がいいグループができ始めます。たとえば、友人同士のちょっとしたトラブルから仲間外れにされてしまい、クラスに居場所がないと学校にいけなくなってしまうことがあります。
こうした人間関係のトラブルに対して、ちょうど思春期を迎える小学校の高学年はとくに敏感に反応しがちです。
お子さんが人間関係に関する悩みを抱えていたとしても、保護者に心配をかけたくないという気持ちから、学校にいきたくない理由を話してくれない場合があります。
集団生活が苦手
不登校となったお子さんは、学校という集団生活にストレスを感じているかもしれません。決められた時間に、みんなと同じことをすることが苦手なお子さんもいるでしょう。学校で慣れない集団生活を続けていくうちに心が疲れてしまい、学校に行けなくなることがあります。
また、常に周りに人がいる状態だと、緊張してしまうというお子さんも見受けられます。このように小学校でも集団生活にうまく適応できずストレスが蓄積され、不登校となってしまうことがあるのです。
自分でも原因がわからない
学校に行きたくない理由を「自分でもわからない」と答えるお子さんも珍しくありません。
小学生のお子さんにとって、自分の気持ちをうまく言語化して説明することは難しいものです。9歳の壁(10歳の壁)という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。諸説ありますが、10歳頃までは抽象的な概念を言語化するのは難しいともいわれます。
そのため、理由をどのように伝えたら良いかわからずに、「わからない」「行きたくないから」「家にいたい」と答えるしかない場合もあるのです。
また、小学生に限らず、明確な理由がなく不登校になってしまったお子さんも多く見受けられます。人間関係や勉強の悩みなど、先述した理由が複数積み重なり、学校に行く気力がなくなってしまうケースもあります。
不登校の小学生の家での過ごし方
お子さんが前向きに過ごせるようになるためにも、家での過ごし方は重要です。ここでは、不登校の小学生の家での過ごし方をご紹介します。
まずはゆっくり休む
「学校を休んでいるから何かさせないと…」「他の子どもたちと差がついてしまう」と焦ってしまう保護者もいるかもしれません。しかし、まずはお子さんの心と身体を休ませることが重要です。
学校に行けなくなってしまったお子さんは、人間関係や学習面、環境の変化などさまざまな要因から心の疲れが溜まっている状態です。お子さんの精神力が回復すれば、「また学校に行ってみようかな」という気持ちが生まれることもあります。
「本当は学校に行かなきゃいけないのに休んでいる」という後ろめたさを感じ、心を休めることができないお子さんも見受けられます。お子さんを安心させるため、「休んでもいいんだよ」と声をかけてあげたり、可能であれば保護者も家で一緒に過ごしたりすると良いでしょう。
お子さんが好きなことに取り組む
お子さんの気力が回復してきたら、次は好きなことや興味のあることをさせてみてください。不登校のお子さんは、「周りはみんな学校に行けているのに自分だけ行けない」という気持ちから、自信を失っていることも多いです。
好きなことに思う存分取り組んでいると前向きな感情が生まれ、徐々に自信を持てるようになります。絵を描いたり、身体を動かしたりなど、お子さんが好きなことに親子で取り組んでみても良いでしょう。
好きなことを肯定し、一緒になって楽しんでくれる存在がいれば、お子さんは自分のことも肯定できるようになっていきます。
もし、やってみたいことや好きなことがないという場合は、この機会にさまざまな体験をさせてみても良いでしょう。お子さんが好きなことを見つけるきっかけとなるかもしれません。
親子のコミュニケーションを増やす
お子さんは人との関わりの中でコミュニケーションの取り方を学びます。学校を休んでいると必然的に人と接する機会が少なくなるため、コミュニケーションが苦手になってしまうお子さんもいるでしょう。
不登校となってしまったお子さんとどう関わって良いかわからず、放置してしまうと、お子さんが心を閉ざして部屋にふさぎ込んでしまう恐れがあります。
このような問題が起きないように、お子さんと会話をする時間を増やし、保護者から積極的に声をかけてあげるようにしましょう。
学校や勉強の話題は、お子さんが罪悪感を抱いてしまう場合もあるため注意が必要です。お子さんが好きなことや得意なことなどポジティブな話題を心がけてください。
難しく考えずに、「今日何が食べたい?」とか「最近ハマっていること」とか「どんな食べ物が最近美味しかった」など、たわいもない雑談くらいで十分です。一緒にスーパーに行った帰りに、どうでもいい雑談をしている時間が好きだったと話すようなお子さんも見受けられます。
不安や緊張がなく親と話しやすい関係を築くことができれば、落ち着いたころに自分の気持ちや不登校の原因を話してくれることもあります。
コミュニケーションを密に取ることは、お子さんのコミュニケーション能力向上のためだけでなく、お子さんが自分は安心な状態にあると感じることにも繋がり、登校するかどうかに関わらず重要です。
お手伝いをお願いする
お子さんに家事のお手伝いをお願いしてみると良いでしょう。保護者から「助かったよ、ありがとう」と感謝されたり、「上手にできたね」と褒められたりすると、自分の役割を感じられたり、自分のことを見てくれているなど自己肯定感が育まれ、次第に自信がついてきます。その自信が、学校に行ってみようという気持ちにつながることもありますし、登校以外の選択肢を取るにしても自信があることは非常に重要です。
また、家事という家庭の役割を果たすことは、お子さんの自立にもつながるため、お子さんができそうな家事から任せてみると良いでしょう。
[小学生でも取り組みやすいお手伝いの例]
- お米を研いでもらう
- 料理の盛り付けをお願いする
- 洗濯物をたたんでもらう
- お風呂の掃除をお願いする
- 掃除機をかけてもらう
- ペットのお世話を任せる
習い事を始める
学校に行っていない時間を活用し、習い事をさせてみることも一つの手です。
「登校はしたくないけれど、習い事ならやってみたいかも」というお子さんも見受けられます。
新しいことを始めたり、人と関わったりすることを億劫に感じている不登校のお子さんでも、好きなことや得意なことであれば自ら行動を起こしやすいものです。
習い事を通じて横の繋がりができると、お子さんの視野も広がるでしょう。そうすれば、次の一歩を踏み出すきっかけとなる前向きな感情が生まれることもあります。
身体を動かす習い事であれば、体が疲れて夜に眠れるようになります。お子さんの生活リズムの乱れが気になっている方は、日中にできる習い事を検討してみてください。
また、プログラミングなどに興味を持つ子も最近は珍しくありませんし、スキルとしても今後役に立つこともあります。居場所支援の中でプログラミングをしていたり、住まいの地域でプログラミング教室を開催していたりするため、探してみるのも一つかもしれません。
また、コロナ禍がきっかけとなり、オンライン上でできる習い事も増えてきています。そのため、家から出ることが苦手なお子さんでも気軽に習い事を始めやすいはずです。
無理のない範囲で勉強する
お子さんが「少し元気になってきたかな」と感じたら、無理のない範囲で勉強をはじめさせてみましょう。勉強の遅れが不安材料となり、学校に復帰したくても次の一歩を踏み出せないお子さんも少なくありません。
実際に、令和2年に実施された不登校児童生徒の実態調査によると、「学校を休んでいる間、勉強の遅れに対する不安があった」と回答した不登校の小学生は、64%にのぼることがわかりました。
この結果から、スムーズに学校に戻れるようになるためにも、不登校期間中も勉強はしておいた方が良いといえるでしょう。
まずは、学校で配布されているプリントなどから始めてみましょう。保護者が教えられるようであれば、一緒に取り組んでみてください。
お子さんがひとりで勉強すると飽きて続かないようであれば、通信教育を検討してみてください。動画コンテンツやゲーム形式で学べるものなどさまざまな教材があるため、お子さんも楽しく勉強を進められます。
また、自宅では学習になかなか取り組めないお子さんなどは、お住まいの地域の教育支援センター(適応指導教室)を活用したり、家庭教師など家族以外のサポートを活用してみたりすることも良いかもしれません。
お子さんに合った教材をうまく活用しながら、学校の復帰に向けた勉強をスタートさせてみてください。
(*出典4)不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書
フリースクールを活用する
住まいの教育支援センター(適応指導教室)以外にも、学校に行っていない間にフリースクールに通うことも選択肢の一つです。フリースクールとは、学校にいけなくなった子どもたちを受け入れている教育施設です。
学習のサポートだけでなく、体験学習に力を入れているフリースクールも多く見受けられます。たとえば、自然に触れたり、ものづくりを体験したりなど、さまざまな経験を楽しめます。そのため、フリースクールに通うことが、お子さんの興味や関心を広げるきっかけとなることもあるでしょう。
また、フリースクールでは、お子さんと年齢が近い同じような境遇のお友達とも出会えます。家庭以外で楽しく過ごせる場所ができることは、お子さんの心の安定にもつながります。
自宅の近くに、良さそうなフリースクールが見つからない場合は、オンラインのフリースクールを検討してみてください。オンラインであれば、全国どこからでも参加できるため、フリースクールに通うハードルも下がるでしょう。
不登校の小学生の保護者にできる対応方法
小学生のお子さんが不登校となってしまったら、どう接したら良いのか悩むこともあるかもしれません。不登校の対応に正解はありませんが、以下の対応方法を参考にしてみてください。
無理に学校に通わせない
お子さんが「学校に行きたくない」と訴えているのならば、無理に登校させるのもひとつです。その理由は、無理をして学校に行くことでお子さんが精神的に不安定になり、回復までにさらに時間がかかる恐れがあるためです。
「車にのせて無理やり登校させる」「引きずってでも学校に連れていく」という保護者や、「学校に行くならゲームをしてもいいよ」とモノで釣って登校させる保護者も見受けられます。
お子さんが不登校になってしまったら、「このままずっと学校に行けないままだったらどうしよう」という考えがよぎることもあるでしょう。こういった不安や焦りから、何とかしてでも登校させようと考える保護者も珍しくありません。
しかし、学校に通うことが不登校の解決につながるわけではありません。また、仮に学校に登校できたとしても、その背景に潜んでいた問題が解決できていない状況では、お子さん自身のしんどさが高まっているようなことも十分に考えられます。
現状を改善するには「学校に行くこと」よりもお子さんの心を癒す方が先な場合もあります。本人が登校を拒否しているのであれば、休ませてあげることも選択肢として用意してあげましょう。
お子さんが安心して過ごせる環境をつくる
お子さんが心のエネルギーを充電できるよう、安心して休める環境をつくってあげましょう。
夫婦間のケンカが絶えなかったり、保護者から登校を刺激されたりする状態だと、お子さんがゆっくりと休むことができません。お子さんへの直接的な暴力や暴言ではなくても、お子さんの目の前で暴力や暴言が行われると、それは面前DVという虐待の一種です。その結果として、お子さんがふさぎ込んでしまい、不登校が長期化してしまうケースも少なくありません。
「学校に行かずにダラダラしている」「学校に行きたくないなんて甘えている」など追い詰めるような発言はせず、お子さんの気持ちに寄り添い、共感してあげてください。家庭が心の拠り所になると、新しい行動を始めるきっかけとなることもあります。お子さんが家の中で元気に過ごせるよう、環境を整えてあげましょう。
学校と連携する
不登校が続くと、学校とのやりとりに対して精神的な負担を感じ、学校に連絡しなくなってしまう保護者も珍しくありません。しかし、学校とは可能なペースで連絡を取るようにすることをご提案します。
今後、お子さんが学校へ復帰することを選ぶのであれば、学校側のサポートも欠かせません。たとえば、学校と上手く連携が取れていれば、学校に戻りやすいようクラスの受け入れ体制を整えてくれることがあります。また、別室登校から始めるなど、無理なく学校に戻っていける方法を一緒に探してくれる先生もいるため、お子さんにとっても心強いはずです。
一旦学校を休み始めると、復帰するときの不安は大きいものです。少しでも学校に戻りやすい環境を作るためにも、先生とは可能な範囲で連絡を取り合っておくと良いでしょう。お子さんも、担任の先生と良好な関係が持てていれば、安心を感じて足を運びやすい状況になるかもしれません。
また、学校に対して安心を感じられないような状況では、なかなか登校をしようとは思えないこともあるでしょう。そのような意味でも、学校への安心感を作るために適宜連携を測ることを大事にしてあげてください。
家庭だけで悩まず外部機関に相談する
不登校の解決は、家庭のみでは難しい場合も多く見受けられます。そのような場合はひとりで悩まず、外部の機関に相談してみましょう。
[不登校の相談先の例]
- お子さんが心身の不調を訴えている:かかりつけ医(内科、小児科など)・児童精神科、お子さんの対応が可能な心療内科・精神科
- お子さんとの関わり方に悩んでいる:児童相談所・教育支援センター
- お子さんの学習の遅れが気になる:塾・フリースクール
- 悩みを誰かに聞いてほしい・他の人の様子を知りたい:不登校の親の会
お子さんが不登校になってしまうことは、保護者にとっても辛いものです。第三者の意見を聞くことで、良い方向に向かうこともあります。家族だけで悩まず、外部機関の助けも借りながら不登校の改善を目指していきましょう。
まとめ
- 登校の無理強いはせず、まず十分な休息を
- 勉強の遅れは不登校の長期化につながるため、無理のない範囲で勉強させておく
- 習い事やフリースクールなどを活用し、お子さんが楽しく過ごせる方法を見つける
この記事では、不登校の小学生の心理についてご紹介しました。小学生のお子さんは、自分の気持ちを的確に話せないことがあります。そのため、「なぜ学校に行けなくなってしまったのだろう」と不安に思うこともあるでしょう。しかし、不登校の原因がわからなくても、現状改善のためにできることはあります。まずは家でゆっくり休ませて、お子さんの元気が出てきたら次のステップに進むと良いでしょう。
【出典一覧】
*1 令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
参考箇所:不登校の小学生は過去最多に
*2 不登校と発達障害:不登校児の背景と転帰に関する検討
参考箇所:神経発達症(発達障害)の特性が原因で不登校になることも
*3 福岡市|児童・生徒の生活実態に関する調査結果
参考箇所:保護者と離れるのが不安
*4 不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書
参考箇所:無理のない範囲で勉強する
【監修者コメント】
本記事では、小学校での不登校についてまとめています。一口に小学校といっても、1年生と6年生では成長の具合や発達状況もだいぶ変わってきますし、同じ学年といっても成長がゆっくりなお子さんや早いお子さんなど、個人差も大きいのが小学生かと思います。
学年や年齢による発達や成長の目安はあれども、その子一人一人の様子をよく見てあげることが重要であると考えられます。
特に低学年の場合は自分の気持ちを上手に伝えることが難しい場合もありますので、周囲の人が困りごとなどの表出をサポートしてあげることも重要です。
学年が上がるにつれて、学習面の難易度や人間関係の複雑さなども上がってきて、困りごとなども複雑になってきます。大人から見ると、幼く見えることも少なくありませんが、子どもたちなりのコミュニティや人間関係、考えや持論などがあることも尊重しながら、関わることが重要であると思います。