不登校児童生徒数は過去最多
文部科学省は10月4日「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の概要」を公表しました。2022年度、全国の小中学校で不登校(30日以上欠席)の児童生徒数が29万9048人となり、過去最多を更新しています。
(画像)「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の概要」より引用
そのうち、欠席日数が90日以上の児童生徒は55.4%にのぼります。背景には、新型コロナウイルスの長期化に伴う生活様式の変化や、児童生徒の休養について必要性を明示した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の趣旨の浸透などが影響しているとみられています。
(画像)「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の概要」より引用
いじめ件数も過去最多…68万件を記録
いじめ件数は小中高、特別支援学校をあわせて前年度比10.8%増となる68万1,948件を記録し、過去最多となっています。このうち「重大事態※」となったいじめ件数は923件を数え、前年度比+217件(30.7%増)でした。
※重大事態とは「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重 大な被害が生じた疑いがあると認める」ケースおよび「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀な くされている疑いがあると認める」ケースを指します。
いじめ件数の増加について文科省は「いじめの認知件数増加は積極的な掘り起こしの結果」とみる一方で、重大事態となった件数が増加していることから、いじめの深刻化の防止策が不十分であるという指摘もあります。
不登校児童支援の充実と認知普及が急務
2020年時点の小中学校における不登校児童生徒数は19万6,127人であり、2年間でおよそ10万人の不登校児童生徒が増えています。ツナグバは今回の文科省の調査結果を、極めて重要な社会課題であると捉えています。
直近は官民連携し、学校外で相談・指導を受けることで指導要録上出席扱いとする制度(「出席扱い制度」※)の活用も徐々に増えてきています。しかし、不登校児童生徒のうち、自宅におけるICT活用などによる学習活動を指導要録上出席扱いと認められた児童生徒数は1万409人(3.5%)とまだまだ多くありません。
※出席扱い制度について詳しくはコチラ
ツナグバはこれまで同様、さらなる不登校児童生徒の支援の充実・認知の普及を目的とした情報発信を継続する方針です。また長期的に、不登校になると社会から逸脱してしまうように感じる社会構造の改革を目指し、教育機関や民間支援事業者の皆様との連携の強化を図り、不登校支援の輪を広げてまいります。