先行きの見えない不登校。不登校のお子さんがいらっしゃるご家庭では、お子さん自身はもちろんのこと、保護者の方も日々悩み、不安に思われていることでしょう。
不登校の原因や背景は人それぞれですが、不登校を経験しているお子さんは共通する思いや経験を抱えていることもあるようです。同時に、不登校のお子さんを抱える保護者の方々も、お互いに似たような経験をすることもあるかもしれません。
そうした「不登校あるある」を知ることで、つらい不登校の悩みに共感できることにとどまらず、お子さんが人に語ることなく心の中で抱えている悩みを理解するヒントが得られることもあります。
そこで本記事では、お子さん・保護者別に不登校経験者だからわかる「あるある」を紹介していきます。
お子さん視点での不登校あるある
ここでは、お子さんの視点から不登校特有のあるあるを4つに絞って紹介します。
①昼夜逆転になりがち
令和2年に文部科学省が行った調査によると、生活リズムの乱れが不登校のきっかけであると答えたお子さんは小学生・中学生ともに約25%という結果でした。
昼夜逆転などの生活リズムの乱れによって不登校が始まるという点は、25%ほどのお子さんが共通して抱える経験といえるでしょう。
実際に、不登校中のお子さんからは「学校に行く時間になると気分が悪くなる」「ネットゲームにハマって朝起きれない」「人目が気になって日中は外出できない代わりに、夜間に外出したり活発に活動する」といった声が多くあり、こうした事情が昼夜逆転の生活の原因になっていると考えられます。
このように、お子さんが昼夜逆転に陥る原因は様々なので、お子さんの状況に合わせた対応をすることが大切でしょう。
(*出典1)【概要】不登校児童生徒の実態調査結果
②自分はダメ人間なんだと思ってしまう
不登校のお子さんは、学校に通っている同級生たちと自分を比較してしまい、劣等感を感じてしまうことが多いです。中には、自分のことをダメ人間だと思い込んでしまうほど、自分を卑下してしまうお子さんもいます。
もちろん、学校に行っているから良い、不登校だからダメということはありません。不登校になっているお子さんにも、そのお子さんなりの個性を持っています。
周囲の方がお子さんの個性や中身を尊重してあげて、お子さんの自己肯定感を高めてあげることが大切です。
③周囲の人とうまくコミュニケーションが取れなくなる
学校に通っていると、必然的に同級生とコミュニケーションを取る機会があります。また、直接的でなくても、他の生徒がお喋りしているのを聞きながら、コミュニケーションに触れることもできます。
一方、不登校状態になると、学校に行くことがほとんどなくなります。そのため、学校でのコミュニケーションを取る機会が極端に少なくなります。不登校の方が、次第にご家族の方や家に来た友達とも、うまくコミュニケーションを取れなくなるのは、これが原因でしょう。
周囲の方がお子さんに適度に話しかけてあげることが大切です。特に学校以外の話題、お子さんの好きなことや趣味、天気のことなどを中心に適度にコミュニケーションを取るのがおすすめです。
お子さんの状態によっては、学校に関する話題に触れるとプレッシャーを与えてしまうかもしれませんので、留意すべきです。とはいっても学校に関する話題を不自然に避けることで、かえって「気を遣わせているな」と感じさせてしまう可能性もあります。
この点はセンシティブで難しいため、第三者の意見、例えば保健室の先生やカウンセラーにお子さんとのコミュニケーションのポイントについて聞いてみてもいいでしょう。
④学生生活に憧れを抱く
不登校のお子さんは、学校に行けない状態ではあっても、通常通り学校に通い、学校生活や行事等に憧れを抱いているということは少なくありません。
修学旅行・部活動などに憧れを持ち、何かしら機会があれば学校に戻りたいと思っていることもあります。
そういった話題に触れてみて、お子さんが興味を示すようでしたら、そのイベントに参加することを目標にしてもいいかもしれません。
また、遠くの学校に転校したり、進学に合わせて普通の学校生活を送れるようになる方も多数存在しています。自分に合った学校に進学・転校することで、不登校が改善される可能性があります。
不登校のお子さんが、学校に行きたい素振りを見せたら、他校への転校・進学を提案するのも良いでしょう。
保護者視点での不登校あるある
ここまでは、お子さん視点での不登校あるあるをご紹介してきました。
お子さんが不登校になった場合、保護者としても、悩みや不安が尽きないかと思います。
続いて、保護者の方の視点での、お子さんの不登校に関するあるあるをご紹介していきます。
①お子さんの行動に一喜一憂して疲れてしまう
お子さんのことが心配だからこそ、お子さんの行動がどうしても目につきやすくなります。今日は学校に行けそうと思っても行けなかったり、勉強をしたりしなかったりと、保護者の立場からすると、お子さんの行動に一喜一憂してしまうこともあるでしょう。
不登校中のお子さんは心身ともに疲弊していることもあるため、お子さんが自宅では安心して過ごせるようまずは最大限サポートすることが大切です。保護者の方が寄り添う姿を見せることで、お子さんが変わるきっかけにもなります。
そういった状態の中で、自ら行動をすることをまずは褒めてあげましょう。その中でエネルギーを回復し、次のステップに進める日が来るかもしれません。
▼参照ツイート
②食費・光熱費が上がりがち
お子さんが不登校になると、ほとんどのお子さんは一日中家にいることになります。そのため、食費・電気代が通常の場合よりも高くなりやすいということがあるようです。
特に夏場は、一日中エアコンを付けっぱなしにすることが多いので、電気代がいつもより高めになるということは「あるある」なようです。
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③長期休みに入ると気が楽になる
通常、学校が開校している間は、お子さんが学校に行ってくれるのか、学校とのやりとりで、保護者の方は毎日気にかけることが多く大変な日々を過ごします。
一方、夏休み、冬休みといった長期休暇の間は、そのようなストレスから解放されて、親子ともにのびのびと過ごせます。
実は、この学校のことを考えすぎない感覚が大切です。この感覚を学校が始まっても維持できると、保護者もお子さんも前向きに過ごせるでしょう。
▼参照ツイート
④保護者懇談会に出席するのが苦痛
学校のクラスで定期的に行われる保護者懇談会。お子さんは普段学校に行っていないので、お子さんのクラスが何組か、クラスの教室がどこにあるのか、わからなくてストレスを感じる保護者の方が多いようです。
「1日の家庭学習は2時間」「休日は自習的にドリルを進める」といった学校に通っている他の家庭のお子さんの状況を聞いて、不安に感じることも多いとのこと。
それでも保護者の方は、お子さんにプレッシャーを与えすぎないようにすることが大切です。本人のペースに合わせて勉強を克服できるようサポートしてあげましょう。
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お子さんの不登校あるあるにどう対応していけばよいか
ここまでお子さん視点、保護者視点それぞれでの不登校あるあるを紹介してきました。では、不登校あるあるを知った上で、どのようにお子さんに対応していけばよいのでしょうか。
まず重要なことは、焦らず、お子さんに気持ちに寄り添ってあげることです。無理に学校復帰させようとするのではなく、お子さんとしっかりと話し合い、お子さんの気持ちを理解してあげることが何より大切です。
また、必要に応じて、スクールカウンセラーや適応指導教室、フリースクールなどを活用するのもよいでしょう。専門のサポートを受けることで、お子さん、保護者ともに不安を解消することに繋がります。
お子さんが不登校になった場合、「早く学校復帰してほしい」と焦るのではなく、お子さんに寄り添う姿勢が大切です。
まとめ
今回は、お子さん・保護者それぞれの視点での不登校あるあるを紹介してきました。
不登校になると、お子さん・保護者ともに、さまざまな悩みや不安が出てくると思います。
不登校のお子さんに保護者としてできることの1つが、お子さんに寄り添い、お子さんの気持ちに共感し、支えてあげることです。
その際、家庭内だけで解決しようとするのではなく、専門機関などの第三者にサポートを求める姿勢も大切です。第三者に相談したり、悩みを共有するだけでも、不安が軽減することもあります。
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【出典一覧】
*1 文部科学省|【概要】不登校児童生徒の実態調査結果
参考箇所:最初に行きづらいと感じ始めたきっかけ