「毎日学校に行くのがつらいけど、どうしたらいいんだろう」
「学校を休みたいけれど、家族になんて理由を伝えたらいいのかわからない」
「体調が悪いと言ったら仮病だと思われてしまうんじゃないか」
こういった思いを抱えている小・中・高校生は少なくありません。
「本当は登校したくない」「学校に行くのがつらい」という気持ちを家族に伝えられていない人はとても多いです。
本記事では、学校を休みたいということを説明できない理由や家族に休むことを納得してもらう方法、休んでいる間にしておきたいこと、学校を休む罪悪感を解消する方法などをお伝えします!
学校を休む理由を言いづらいのはどうして?
原因がはっきりわからないから
不登校になる理由は1つではなく、さまざまな要因が複雑に関係し合っていることが多くあります。
学校に行きたくない原因を自分でわかっている場合もありますが、なんとなくしんどい、なんとなくやる気がおきない、など、自分でもはっきりとした理由がわかっていないケースは少なくありません。
自分でもよくわからない気持ちや原因を家族に伝えるのはとても難しいことです。
休むことに罪悪感を覚えているから
「学校は必ず行かなければいけない」
「みんな学校に行っているのだから行かないことはおかしい」
学校に行くことに対して、多くの人がこのように思っています。
このように考えていると、学校を休むことを「やらなければいけないことをできていない」「普通のことをできていない」状態ととらえてしまいます。
そんな自分の状態に罪悪感を覚え、落ち込んでしまうことも。そして、そんな自分の状況を保護者に伝えることは、隠しておきたい自分のダメなところを見せてしまうようで、できれば避けたいと思うものです。
学校を休むのは悪いことじゃない
小学校・中学校は「義務教育」という言葉が使われているので、「学校に行くことは義務」と思うかもしれませんが、実はこの「義務」は「教育を受ける機会を与える義務」のことです。学校に行くことは義務ではありません。
登校することが心身にとって負担であれば、状況が悪化する前に休むことが必要です。
学校を休むことは「悪」ではありません。休む時間が必要なときは誰にでもあります。
「何が何でも学校に行かなければいけない」と思っているのであれば、その考えから自由になる必要があります。
学校を休む理由を親に納得してもらう方法6選
では、学校を休む理由を家族にどのように伝えれば納得してもらえるのでしょうか?
ここでは、家族が納得しやすい理由をご紹介します。
①正直に話す
まずは「学校を休みたい」と自分の素直な気持ちを伝えてみましょう。
ただ「休みたい」だけだと、家族からは「どうして?」と理由を聞かれるでしょう。
そこで、「授業についていけない」「部活で嫌なことがあった」「友達とケンカした」「いじめられている」など、はっきりとした理由を話すことができれば、家族も「そんなことがあるのであれば学校も行きたくなくなるよね」と納得しやすいです。
しかし、自分でも理由がはっきりしなかったり、理由をわかっていても家族には話したくなかったりする場合もあります。
そんなときは「今はうまく説明できないんだけど、とにかくしんどい」というように、はっきり理由を言わなくても、今はしんどくてつらい状況であることを冷静に伝えることで、家族にもつらさを理解してもらいやすくなります。
②休んで何をするか伝える
休みたい理由を伝えて「休みたい」と言えば、「わかった。休んでいいよ」と家族は言ってくれるかもしれませんが、それだけでは家族に「勉強はどうするんだろう?」「進学はどう考えているんだろう?」と心配されると思います。
「休んでいる間の勉強は塾でする」「今は休みたいけど、高校進学はするつもり」など、家族の心配を緩和できるように、休んでいる間にどのように過ごすのかを説明できると、家族も安心して休ませられるでしょう。
③前日の夕方に伝える
次に、話すタイミングです。
「学校を休みたい」と家族に伝えるタイミングで最も多いのは、朝起きてから学校に行く直前までの間ですが、前日の夕方のうちに「明日から学校を休みたい」と伝える方法もあります。
朝起きてから伝えると「もっと寝たくてさぼりたいから言っているんだろう」など誤解を招く可能性もありますが、前日のうちに伝えておくことでその印象はなくなります。
特に、夕食時に「明日は学校を休みたい」と伝えてみるのがおすすめです。食事中に話すことで、交渉テクニックの1つである「ランチョン・テクニック」を使えます。
ランチョン・テクニックとは、「食事中の話には反論しづらい」という心理が働くことを利用した交渉術で、一緒に食事をしながら交渉を進めると同意を得やすいと知られています。
ただ、反対する人がいると同意を得ることが難しくなってしまうので、例えば何事にも厳しく、学校を休むことに反対することが予想される父親(または母親)や、「休むのはずるい、私(僕)も休みたい」と言い出す兄弟など、「夕食時に誰がいるのか」を考えておくことも必要です。
④朝食を食べながら伝える
朝食を食べながら伝える、という方法もあります。
夕食時と同様に、ランチョン・テクニックを有効に使えるため、布団に横になりながら伝えるよりは賛同を得やすいでしょう。
「学校が嫌だ」と思っていると、布団から出たくなくなると思います。しかし、家族に「学校を休みたい」と伝えるときに大切なのは、さぼりたいわけではないということを理解してもらうことです。
パジャマのまま、顔も洗わず登校の準備もしない状態で「休みたい」と言うより、朝はしっかり起きて身だしなみを整えてから伝える方が、「さぼりたいだけでは?」という誤解を招く可能性は低くなります。
⑤最悪仮病を使うのも手
自分でも学校に行きたくない理由がわからない、または理由があっても親にうまく伝えられないケースもあります。
そんなときは、休むことを納得してもらうために仮病を使ってしまうのも1つの手です。
仮病を使うときは、病院に連れていかれる可能性が低い頭痛や腹痛を理由にするのがおすすめです。
頭痛や腹痛はよくある不調の症状であるため、家族を必要以上に心配させてしまうこともないでしょう。
ただ、仮病を使うのは休みたい理由をどうしてもうまく説明できそうにないときだけにしましょう。ベストは、正直に理由を伝えることです。
⑥休ませてもらえないなら通常登校以外の方法を
家族に「休みたい」と伝えても、「わかった。いいよ」と納得してもらえない場合もあるでしょう。
そういう場合は「教室に入るのがつらいので、別室登校したい」と伝えてみてはいかがでしょうか。
学校によって、できる・できないの対応は異なりますが、別室登校は教室に入らないだけで学校には行くので、不登校にはなりません。
保健室で過ごす保健室登校もありますし、放課後に登校し、短時間で先生と会話や授業を行う放課後登校などもあります。
学校に行く・行かないだけではなく、選択肢はいろいろあります。
家族に納得してもらえて、自分にとってもつらくない方法にはどんなものがあるか、リサーチしてみてくださいね。
学校を休んでいるときにしておきたいこと
「学校を休みたい」と家族に伝えて、実際に休むことになったら、家ではどのように過ごせばよいのでしょうか。
あまりにも心身が疲れているなど、ただ何もせずにぼーっとする時間が必要な場合もあります。
少し余裕が出てきたら、再登校のためにできることを始めてみるとよいでしょう。
学校に行きたくない理由を考える
学校に行きたくない原因が取り除かれれば、再登校へのハードルがぐっとさがります。
どうして学校に行くのが嫌なのか、その根本的な原因を考えてみてください。
授業についていけない、勉強量が多いのがつらいなど、学業面の問題なのか、人間関係の悩みが原因なのか。
学校に行きたくない理由と、どうすればその原因が解消または軽減されるのか、考えてみてほしいと思います。
保健室登校や放課後登校を検討する
「再登校します」と言って、いきなり通常登校する必要はありません。
精神的にも身体的にも負担を少なく、ストレスなく生活することが大事です。
まずは保健室登校や放課後登校で学校に慣れ、その後、好きな授業や午前中だけ教室で過ごすなど、段階を踏んで学校生活に馴染んでいくことがおすすめです。
第三者に相談する
家族やカウンセラーに相談するのも、問題解決のための大切な一歩です。
一人で悩んでいては落ち込むだけだったことも、誰かに相談することによって気持ちが軽くなったり、思いもしなかった解決への糸口が見つかることもあります。
身近な家族や友人には相談しづらいというケースもあるので、そういった場合はカウンセラーなどの第三者に相談してみてくださいね。
場合によっては転校も視野に
環境を変えることで解決する問題もあります。
特にいじめや人間関係のトラブルは、トラブルになっている人たちと物理的に距離をおくことで解決するでしょう。
場合によっては、転校も視野に入れてみるとよいと思います。通っている学校だけがあなたの世界ではありません。
学校を休む時におすすめできない理由
感染症などの仮病
どうしても学校を休みたい理由をうまく家族に伝えられない場合は仮病を使うのも一つの手とお伝えしましたが、インフルエンザやコロナウイルスなど感染力の強い感染症を仮病として使うのはやめましょう。
感染力の強い感染症が家庭内で発症すると、隔離生活が必要になるなど、感染していない家族の行動にも制限が生まれます。
前日まで学校に通っていたのであれば、学校への報告も必要で、報告された学校側も除菌作業などが必要になるケースがあります。
多くの人に迷惑をかけることになるので、感染症の仮病を使うのはやめましょう。
嘘の事情
嘘の「身内の不幸」を理由に休むこともやめましょう。学校には「忌引き」があり、不正に使うと本当に身内が亡くなったときに使えなくなります。
感染症などの仮病と同様、必要以上に家族や先生を心配させ、困らせてしまう嘘はつかないようにしましょう。
学校に行ったふり
学校に行ったふりをして街中をぶらぶらして時間をつぶすこともやめましょう。
学校に行かず、他の場所にいる間に何かトラブルに巻き込まれたとき、解決が遅くなり、事態が深刻化する可能性があります。
日中、学生が一人で長時間を過ごせる場所はなかなかないものです。
居場所を探しているうちにトラブルに巻き込まれる可能性も高まりますし、行ったふりをして街中をぶらぶらして過ごすのはやめましょう。
学校を休むと罪悪感を覚えるのはなぜ?
嘘をついたから
よくある原因の1つは「仮病などの嘘をついたから」です。
学校を休みたいと思うほどつらいけど、自分でも理由がはっきりしない場合、つい仮病を使ってしまいがちですが、仮病を使ったことによって更に嘘をついたという罪悪感に苦しんでいるとしたら、本末転倒です。
嘘をつくことは、後ろめたい気持ちになり、罪悪感を覚えるだけではありません。家族や先生の信用を失う可能性もあり、何でも話せる相手がいなくなることはより大きな不安を引き起こす原因にもなります。
学校を休みたいときは、できる限り正直に行きたくない理由を伝えるのがおすすめです。
怠けているように思えるから
学校に行かない自分を「怠けている」と感じ、自己嫌悪に陥るケースも多くあります。
そもそも不登校になる人は、根が真面目なタイプが多いです。学校に行きたくない理由を正直に家族に伝え、納得してもらって休んでいたとしても
「みんなは学校に行っているのに自分だけ行かないのは怠けている」
「身体は元気なのに休むのは怠けているだけ」
と、自分を責めてしまうのです。
「身体は元気でも、心が不調」であることを、自分で認識することが必要です。
今は元気になるための休息期間であることを意識して、自分を責めないようにしてください。
頑張れば行けたのではないかと思えるから
学校に行こうとするとお腹が痛くなったり頭が痛くなったりする人も、「今日は学校に行かない」と決めてしまうと症状がおさまる場合があります。
そういったとき、真面目であればあるほど
「今日は本当は行けたのではないか」
「これはずる休みになるのではないか」
と自分を責めてしまいます。
このように、「本当は学校に行けたのではないか」という疑問が、罪悪感を引き起こしている場合があります。
学校を休む罪悪感を解消する方法
①正直に話す
仮病や特別な事情など、後ろめたい嘘をついて学校を休んだ場合、学校に行きたくない本当の理由を正直に話してみましょう。理由がわからない場合も「理由は自分でもわからないけど休みたい」と正直に言ってみることをおすすめします。
日ごろ真面目に生活していれば、「そんなことを言うほど何かに悩んでいる」と休むことを納得してくれる保護者の方が多いと思います。
②必要な休みと割り切る
人は誰でも、休息が必要なときがあります。
今は休むことが必要なタイミングであることを自分でも受け入れて、家族に「休みたい」と正直に相談してみてください。
③生活リズムを乱さない
学校を休んで、生活が昼夜逆転してしまうと
「学校に行けていないうえに日常生活までまともにできていない」
「何をしてもだめな自分」
と自己嫌悪が悪化する一因になってしまいます。
学校に行っていなくても、朝になったら起きて朝食を食べる、という規則正しい生活を心掛けることで、不要な自己嫌悪もなくなり、再登校にもつながります。
④自宅学習をする
学校に行かないことで「勉強が遅れる」「進学に影響する」「このまま社会にも出られなくなるのでは」と勉強面での不安も強くなるでしょう。
その不安を解消するために、自宅で勉強を進めていくことがおすすめです。
「いつでも学校に戻れる」と再登校への自信につながりますし、勉強の遅れを心配する家族を安心させることにも効果的です。
⑤趣味などに没頭する
学校へ行けない現状のことばかり考えていると、気持ちは落ち込む一方です。
「休みが必要なときもある」「調子がよいときもあれば、悪いときもある」と、学校を休んでいる今の自分を受け入れ、好きなことをして気分転換をすることで、罪悪感が軽減することがあります。
好きなスポーツでも趣味のゲームでも構いません。好きなアイドルの動画を見ることでもよいのです。
落ち込むばかりではなく、楽しめること、気持ちが和らぐことを見つけて心のリハビリをしてください。
【まとめ】
家族に休むことを納得してもらう方法や休んでいる間にしておきたいこと、学校を休む罪悪感を解消する方法などをお伝えしました。
いちばん大切なのは「つらいときは休んでもいい」と知っておくことです。
心身が疲弊しているのに「休んではいけない」「休むこと=さぼっている」と思うことで必要な休息がとれず、状況を悪化させてしまうことがあります。
「休みが必要なときもある」「学校がすべてではない」と、気楽に考えてみましょう。そうすることで、必要以上に自身を責めたり、自己嫌悪に陥ることもなくなるでしょう。
休みが必要なときは、ぜひ本記事で紹介した方法で、家族に「学校を休みたい」と伝えてみてくださいね。