保健室登校という言葉を耳にしたことがある方は多いでしょう。
学校に行きづらいときの一つの手段として知られています。
では、保健室登校では実際に何をしているか知っていますか?
- 保健室登校について詳しく知りたい
- 保健室登校のメリット・デメリットが分からない
- 教室に登校できるようになりたい
- 他の選択肢を知りたい
そんな悩みを解決するため、この記事では、保健室登校とは何かや、メリット・デメリット、教室復帰へのステップ、保健室登校以外の選択肢について、詳しく解説していきます。
保健室登校って?
保健室登校は、日本学校保健会によって「常時保健室にいるか、特定の授業には出席できても学校にいる間は主として保健室にいる状態」と定義されています。
(*出典1) 公益財団法人 日本学校保健会|保健室利用状況に関する調査報告書 平成28年度調査結果
学校に登校はするものの、教室で授業を受けるのではなく、保健室で過ごす状態です。
登校する時間や帰る時間、過ごし方は学校やお子さんによって様々です。
保健室登校は珍しいことではない
保健室登校を選ぶ人は多く、珍しいことではありません。
日本学校保健会によると、保健室登校をする生徒がいる学校の割合は以下の通りです。
小学校:32.4%
中学校:36.5%
高等学校:36.8%
また、学校あたりの保健室登校の年間の平均人数は、小学校1.9人、中学校2.9人、高等学校2.8人です。
つまり、毎年各学校で約2人は保健室登校をしています。
数値でみると、保健室登校は珍しいことではないと言えますね。
(*出典1) 公益財団法人 日本学校保健会|保健室利用状況に関する調査報告書 平成28年度調査結果
保健室登校の過ごし方
保健室登校の過ごし方は様々です。いくつかの例を示します。
- 養護教諭と話をする
雑談はもちろん、保健室の先生が信頼できたら、相談ごとを話すのも良いでしょう。気持ちが楽になるかもしれません。
- 自習する
授業で使ったプリントをもらったり、教科書を読んだりして自習をしてみましょう。家よりも集中できるかもしれません。
- 読書をする
図書室で本を借りたり、自分で本を持って行ったりして読書をするのも一つです。
- 先生のお手伝いをする
保健室の先生のお手伝いや職員室のお手伝いをして過ごすこともあるようです。
- 勉強を教えてもらう
先生に余裕があるときは、勉強も教えてもらえることもあります。分からないことは質問してみるといいでしょう。
- 給食だけ食べる
はじめのうちは、給食だけ食べて帰るお子さんもいるようです。
保健室登校のメリット
保健室登校にはどんなメリットがあるのでしょうか。ここでは4つのメリットを紹介します。
出席として認められる
義務教育の小中学校では、保健室登校も出席扱いになる場合もあるようです。
つまり、教室に行きづらいときでも、保健室に登校することができれば、出席としてカウントしてもらえます。
特に中学校では、出席日数が内申点に関係するため、出席扱いになるのかどうかは重要ですね。
学校との繋がりを保てる
学校との繋がりは、お子さんや家族にとって非常に大切です。
特に保護者の方にとって、情報共有や相談の場としての学校は大きな存在です。
また、お子さん自身も、学校との繋がりがある方が、学習面や進路に関して気にかけてもらえるため安心できるでしょう。
生活リズムを保てる
不登校のお子さんで、生活リズムが保てなくなる人もいるでしょう。
保健室登校をすると、昼間に学校に通う生活を続けることで、生活リズムを保てます。
生活リズムは、心身の健康に大きく影響するため、大きなメリットになるでしょう。
居場所になる
教室に行きづらいとき、保健室は大事な居場所になるかもしれません。
保健室の先生に話すと気持ちが楽になることもあるし、人の出入りが少ないので、人と会わずに過ごすこともできます。
また、教室に行きづらいけど家の居心地が悪い、というお子さんにとっても、保健室登校は大事な選択肢になります。
保健室登校のデメリット
出席として認められない場合がある
高等学校の保健室登校の扱いは様々で、出席として認められない場合もあります。
授業に参加しないと、進級に必要な単位が認められない場合があるようです。
学校ごとに判断されるので、通っている学校の先生に相談してみましょう。
人目が気になる
保健室登校で人目が気になる人は少なくありません。
教室で授業を受けている人たちにどう思われるか気になったり、廊下でクラスメイトと会わないか気にしてしまうかもしれません。
そういった場合は、先生に相談してみると配慮してもらえるかもしれません。
勉強で遅れをとることがある
授業を受けないと、自習が中心の学習になるため、勉強面で遅れをとってしまう場合があります。
先生に余裕があるときは教えてもらえることもあるようですが、学習塾やその他の選択肢を考えるのも良いでしょう。
保健室登校以外にも選択肢がある
ここまで保健室登校について説明してきましたが、学校に行きづらいときに居場所になるのは、保健室だけではありません。
保健室登校以外の選択肢をいくつか紹介します。
別室登校・放課後登校
保健室ではなく、図書室や空き教室に登校する人もいます。
保健室にクラスメイトが入ってくるのが気になる場合は、別室を用意してもらうのも一つです。
また、別室登校では、先生が付き添って学習指導をしてくれる場合もあるようです。
放課後登校は、他の児童・生徒が帰ったあとの放課後に学校に行くシステムです。
学校によって様々ですが、養護教諭や担任の先生が対応してくれることが多く、短時間の会話をしたり、勉強をしたり、その日配られたプリントを受け取ったりできます。
転校する
今の学校やクラスメイトと合わず、学校生活がしんどいと感じる場合は、思い切って転校するのも一つの手段として有効です。
環境が変わることで気持ちに変化があったり、楽になったりする場合もあります。
適応指導教室
学校に行くことだけが選択肢ではありません。
適応指導教室は、教育委員会が運営する不登校のお子さんのための施設です。
学校復帰を目的としており、学校と連携を取り合いながら、カリキュラムを組んだ学習指導や心理面での支援を行います。
適応指導教室への出席は、在籍校への出席として取り扱われるようです。
お子さん自身が学校復帰を望んでいる場合に有効な選択肢です。
フリースクール
フリースクールは、学校に行きづらいお子さんや行けないお子さんが、学校の代わりに過ごす民間の施設です。
適応指導教室よりも自由度が高く、決まったカリキュラムが組まれていないことがほとんどです。
学習指導要領にとらわれず、個人に合わせたサポートが行われます。
民間の施設であるため、目的や活動内容はスクールごとに異なります。
学習塾や家庭教師
学習塾や家庭教師を利用するのもいいでしょう。
勉強面に重点をおいてサポートしてもらえるため、勉強面の心配は解決できます。
塾や家庭教師の先生と信頼関係を築けると、大事な居場所になることもあります。
教室復帰へのステップ
保健室登校や不登校の児童・生徒にとって、教室復帰は絶対に目指さないといけないことではありません。
教室よりも適した環境を見つけられる場合もあります。
ここでは、教室復帰を目指す人のために、教室復帰へのステップをご紹介します。
1.保健室に登校できる日数・時間を増やす
初めは、週に1日、給食時間だけでも大丈夫なので、徐々に保健室にいる時間を増やしていきましょう。
来週は何日保健室に登校する、と決めて目標を達成していくと、自信に繋がるかもしれません。
2.友達に来てもらう
仲のいい友達やクラスメイトに保健室に遊びに来てもらうと、クラスとの繋がりを作ることができ、教室に戻りやすくなります。
友達と話すことで気持ちが楽になることもあるかもしれません。
友達に来てほしい場合は、先生や友達に相談してみるといいでしょう。
3.給食や好きな教科だけ教室に行く
友達と話して、教室に行く気持ちになれたら、一緒に教室に行ってみましょう。
初めは一日中いなくてもいいので、給食時間や好きな教科から行ってみるのがおすすめです。
4.教室にいる時間を増やしていく
少しずつ教室に行けるようになったら、教室にいる時間を増やしていきましょう。
自分に合ったペースで徐々に増やしていくことで、教室に慣れていきます。
まとめ
学校に行きづらいときの一つの選択肢として、保健室登校があります。
保健室登校のメリットは、出席として認められることや、学校との繋がりや生活リズムを保てること、居場所になることなどです。
デメリットとして、出席として認められない場合があることや、人目や勉強面の心配があげられます。
保健室登校以外の様々な選択肢や、教室復帰へのステップもご紹介しました。
自分に向いている方法を探して、ゆっくり試していきましょう。
出典一覧
*1 公益財団法人 日本学校保健会|保健室利用状況に関する調査報告書 平成28年度調査結果
参考箇所:保健室登校って?