「大人になったら何になりたい?」
「大きくなったら〇〇をするために今は△△をしよう!」
「将来の夢を見据えて進路を考えよう」
この記事を読んでくださっている皆さんの中には、夢や目指している職業が見つからないのにこんな言葉をかけられたり、進路選択を迫られたりして、悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
「将来の夢が見つからない」という中高生は、実は少なくありません。
本記事では、将来の夢についての考え方と進路の選択肢、また、これから夢を見つけていく方法についてご紹介します。
前提として、将来の夢がなくても大丈夫
「大きくなったら何になりたい?」という言葉は、誰もが幼い頃から幾度となく質問されてきたフレーズだと思います。幼稚園児や小学生のときは、サッカーが好きで「サッカー選手」、YouTuberに憧れて「YouTuber」、お菓子作りが楽しくて「お菓子屋さん」というように、とてもシンプルに答えていたでしょう。
しかし、中学生や高校生になってくると、その質問に急に重みが出てきます。なぜなら、目の前の進路選択に直結してくるからです。
サッカー選手を目指すのであれば、スポーツに特化した学校に進学する必要が出てくるかもしれませんし、YouTuberになりたいのであれば、すぐにでもYouTubeチャンネルを始めるべきかもしれません。お菓子屋さんで働きたいのであれば、パティシエの専門学校を目指す方が良いかもしれません。
中高生になると、無責任に「夢」を語れなくなるのです。
そうなって初めて「本当に自分がやりたいことって何だろう?」と将来について真剣に考える方も多いはず。
今、夢が見つからないと焦ってしまう方もいるかもしれませんが、中学生や高校生の段階で必ず将来の夢を決めておく必要はありません。
自分はどんなことが好きなのか、得意なのか、どんなことに興味があるのか、どんな生き方をしたいのか。
好きなこと、興味のあることを1つに絞る必要はなく、生活しながら多方面にアンテナを張り巡らし、自分と向き合ってみる時期がきたと思ってください。
夢はなんでもいい
世の中には、小さな子からお年寄りまでみんなが知っている職業がある一方、一般的にはあまり知られていない職業もあります。
スポーツが好きだからといって、必ずしもスポーツ選手になる必要はありません。スポーツ選手を支えるコーチやトレーナー、マネージャー、チームを支えるスタッフ、関連施設の運営スタッフ、スポーツ記者など、好きなことに関わることのできる職業はたくさんあります。
同様に、料理が好きな人の夢の選択肢はシェフだけではありません。調理師やパティシエ、フードコーディネーター、管理栄養士、料理教室講師、料理YouTuberなど、ざっと思いつくだけでもこれだけあるので、調べていくともっと多様な職業が見つかるでしょう。
大切なことは、「この職業に就きたい」という具体的な夢を見つけることではなく、自分の好きなものや夢中になれること、興味の湧く分野を知っていくことです。
また、好きなものや得意なことを考えるだけではなく、「どう生きていたいか」を軸に将来を考えてみるのもよいでしょう。
「家族との時間を大切にして生きていきたい」
「とにかくお金に余裕のある生活がしたい」
「いろいろな地域に住んでみたい」
自分が「いいな」と思う生き方はどんなものか、その生活を実現するにはどんな仕事が選択肢になるのか、そんな切り口から考えていくのも一つの夢の探し方になります。
将来についての考え方
好きなことや得意なこと、興味のあること、また憧れる生活スタイルを考えても、夢につながるものが思い浮かばなければ、短いスパンでどんな選択肢があるのかを考えてみるのもよいでしょう。
中学卒業後の進路
中学生にとって、近い将来は中学卒業後の生活です。中学卒業後の進路には、いろいろな選択肢があります。
全日制のように、毎日朝から夕方まで通う学校から、年に数日通うだけでよい学校まで、学校によってシステムが異なるため、自身に合った学校を選ぶことが大切です。
将来について漠然としている場合は、選択肢を広げやすい進路がおすすめです。全日制高校の普通科であれば、高校生活の中で引き続き進路や将来の夢を模索できます。
①全日制高校
「高校」と聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのがこの全日制高校です。
平日、朝から夕方まで毎日授業があり、3年間で卒業するのが一般的ですが、1年間で学ぶカリキュラムや取得すべき単位が決まっているため、単位を落とした科目があると留年になる場合があります。
運動会や文化祭など、行事が豊富で盛り上がることが多く、クラスメイトとのコミュニケーションも増えるでしょう。
②定時制高校
平日に毎日登校するという点は全日制と同じですが、授業の時間が異なります。
夜に授業を行う「夜間定時制」、朝と昼に授業を行う「昼間二部定時制」、朝・昼・夜に授業を行う「三部制」があります。
1日の授業時間が短いため、一般的に4年かけて卒業を目指します。
全日制高校に比べて自由な時間が多く、勉強以外のことにも時間を費やしやすいでしょう。
就労している人や元不登校生など、多様な学生が多く在籍している点も特徴です。
③通信制高校
通信教育のため、自分のペースで学習を進めて高校卒業資格を取得できます。働いていて決まった時間が取りにくい方や不登校生など、さまざまな事情で全日制高校に通えない方にとっては大きなメリットがあります。
④高等専門学校
「高専」と呼ばれ、専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成することを目的とした一条校です。5年間(商船学科のみ5年6か月)の課程で、主に工業系や商船系といった分野に特化した学校です。
高専を卒業すると短大卒業と同じ学位を取得でき、大学3年次への編入も可能です。
⑤専修学校
将来に向けた実践的な職業教育、専門的な技術教育を行う学校で、医療・調理・美容・農業・ファッションなど多岐にわたる分野でスペシャリストを育成しています。
卒業後は専門課程や大学への入学資格を得られるほか、一部の学科では国家資格を取得できることもあります。
⑥フリースクール
民間の教育機関で、主に不登校や引きこもりのお子さんに学習やコミュニケーションの機会を提供しています。
学校のようにカリキュラムが決まっているわけではないため、規模や理念、活動内容はそれぞれの施設で大きく異なります。
高校卒業程度認定試験の修得を目指して通うことで、将来の選択肢が広がるでしょう。
⑦就職
中学卒業後、進学せずに就職するという選択肢もあります。
しかし、中卒で就業できる業種や職種は少なく、生涯年収でも高卒以上とは差が広がります。
より良い条件で働くには、通信制高校などで高卒資格を取得する、あるいは高卒認定試験に合格して大学や専門学校に進学するのがよいでしょう。
高校卒業後の進路
高校生にとっての近い将来は高校卒業後の生活です。自分がどんな学校で何を学びたいのか、またはどんな仕事をしたいのかを考えてみましょう。
もし、卒業後のイメージが湧かない場合は、いくつかの候補を出してみましょう。
「大学進学」「就職」「職業訓練」などを比較し、自分にとってのメリット・デメリットを考えてみると選びやすくなります。
①4年制大学
幅広い一般教養から専門領域までを学問として体系的に学べます。一般的には4年制ですが、医学部・薬学部など6年制の学部もあります。
大卒になるとさまざまな企業や職種に応募することができるため、選択肢が広がります。
学べる学問の種類も多種多様なので、興味のある学部や学科のある大学の情報を調べてみましょう。
②短期大学
一般教養から専門領域まで体系的に学べますが、4年制大学と比較すると履修できる科目数は少なくなります。2年制が一般的ですが、一部3年制の短大もあります。
③専門学校
職業に直結する知識・技術を学ぶことができ、実習が充実しているのが特徴です。2年制が一般的ですが、3年制・4年制の学校もあります。
④留学
高校を卒業した後、日本の大学に進学せず、海外の大学や専門学校に留学するという学生も増えています。
留学は、リサーチや費用、語学力など、事前に準備しておくべきことが多くハードルは高いですが、メリットも多くあります。
語学力が鍛えられるだけではなく、世界各国の人とのコミュニケーションを通して多様な価値観に触れることにより、視野が広がり、柔軟性や環境適応力が高まるため、就職活動でも有利になりやすいと言われています。
⑤就職
就職も選択肢の一つです。
ただし、高校生の就職活動には細かいルールがあるので、注意が必要です。高校によってルールが異なるため、学校の先生に確認しましょう。
また、国や都道府県は、高校卒業者を対象に職業スキルを身につけるための職業訓練を実施しています。機械加工や自動車整備、木造建築などを1〜2年かけて有料で学ぶことができます。
興味があればハローワークで手続きができるので、相談してみましょう。
面白い生き方をしている人を探してみよう
世界には、さまざまな生き方をしている先人がいます。いろいろな人がいることを知ることは、将来の夢を見つけるヒントになるでしょう。また、夢には直結しなくても、視野が広がり、不要に焦ることがなくなるかもしれません。
ここでは、面白い生き方をしていることで有名な著名人を紹介します。
こんまり さん
今や「片づけコンサルタント」として有名なこんまり(*出典1)さんは、自分のこだわりを突き詰めた結果、その生き方が一つの職業になった代表例と言えるでしょう。
2015年には『TIME』誌の「最も影響力のある100人」2015年版artist部門に選出されました。
ヴェラ・ウォン さん
世界中の花嫁たちを魅了する「ヴェラ・ウォン」のドレスを生み出したヴェラ・ウォン(*出典2)さんは、40歳のとき、自身の挙式のために初めてウエディングドレスを作り、それをきっかけにウエディングビジネスを始めました。
スケート選手、編集者、ファッションデザイナーと、数々の経験を経てから始めた「ヴェラ・ウォン」ブランドは大成功し、70歳を超えても第一線で活躍しています。
誰でも、最初に決めた職業に縛られる必要はなく、さまざまな経験を積むことで、自身でも思ってもみなかった仕事ができるようになるかもしれません。
モーゼスおばあちゃん
「モーゼスおばあちゃん」として知られているアンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼス(*出典3)さんは、子育てが落ち着いた40代から趣味として絵画制作を始め、80歳で初めて個展を開きました。
101歳で死去するまで絵を描き続け、約1600点の作品を制作したと言われています。
好きなことを始めるのに、年齢は関係ないと教えてくれますね。
【まとめ】将来の夢は具体的に決めなくても、あなたらしく過ごしていれば大丈夫
進路選択が迫ってきて初めて、将来の夢を現実的に考える人もいるでしょう。
「偏差値で合格圏内の学校に進学することを目指すだけでいいのか」
「本当に、今自分が好きなことを追求して大丈夫なのか」
「考えてみても、興味のあることや好きなことがわからない」
と悩むこともあると思います。
でも、それで良いのです。
人生は、何度でも軌道修正できます。強い意志があれば、進路はいつでも、いくらでも選ぶことができるでしょう。
「自分はこう」「こうしなければいけない」と決めつけず、今できる最良のことを考え、その考えに沿って行動してください。
自身で考え、決めて、行動することが、あなたの人生を豊かなものにします。焦らずゆっくり、「好き」と経験を増やしていってください。
【出典一覧】
*出典1 wikipedia 近藤麻理恵
参考箇所:面白い生き方をしている人を探してみよう
*出典2 wikipedia ヴェラ・ウォン
参考箇所:面白い生き方をしている人を探してみよう
*出典3 wikipedia グランマ・モーゼス
参考箇所:面白い生き方をしている人を探してみよう