中学校で不登校を経験したお子さんが高校受験を迎える際、多くの保護者が「欠席日数が多くても受験は可能なのか」「調査書にどう影響するのか」といった不安を感じるでしょう。
しかし、不登校経験があるからといって、高校進学の道が閉ざされるわけではありません。
不登校の背景や現状に応じた進学方法や学校選びのコツを知ることで、希望する進路を実現することができます。
この記事では、不登校から高校受験に挑む際の注意点やポイントを解説します。
具体的には、欠席日数や成績が影響する「調査書」について、不登校生向けに用意された「不登校枠」の活用、また不登校生が進学できる高校の種類など、多角的に情報をお届けします。
さらに、全日制高校への受験対策や、不登校のお子さんに合う高校選びのコツ、不登校支援の実例もご紹介。不登校タイプに応じた進学先選びのポイントを押さえることで、無理なく安心して高校進学に備えることができます。
高校進学は新たなスタートライン。焦らず、お子さんに合った進路を一緒に見つけるためのヒントをお伝えします。
不登校から高校受験で注意が必要な「調査書」とは?
高校受験では内申点や調査書が重要だと聞いたことがある保護者も多いかもしれません。
内申点とは、中学校で学習した全9教科の成績を点数化したものをいいます。内申点は、志望校の出願時に中学校が提出する調査書(内申書)に記載されます。
高校受験で内申点が重要視されている理由は、「入試の点数」と「内申点」の総合力で合否が判断されるためです。
学校やコースによって「入試の点数」と「内申点」の比率は異なるため、差異はありますが、進学に影響を与えることは認識しておくといいでしょう。
結論からいうと、欠席日数が多い不登校の生徒は「内申点が低い」もしくは「内申点がつかない」傾向にあります。
その理由は、授業を欠席したり、定期テストを受けていなかったりする場合、先生が内申点を判断する情報が少ないためです。
内申点は、「知識・技能」「思考力・判断力・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3点を基準に評価されます(*1)。
具体的には、定期テストや小テストの点数や日々の授業態度、提出物などを元に総合的に判断されます。
しかし、不登校の生徒だと上記の3つの基準を点数化することが難しく、内申点が低くなってしまう傾向があるのです。
たとえ受験当日の点数が良くても、内申点の比重を重視する高校であれば、不合格となることもあるでしょう。
また、倍率の高い高校であれば、テストの点数のみで他の生徒と差をつけることは難しいかもしれません。そのため、内申点が低いからという理由で志望校を変更せざるを得ない生徒も出てきてしまうのです。
さらに、調査書には、欠席日数を記載する項目があります。
欠席の理由を記載する必要のある学校もあれば、「3年間の合計の欠席日数が〇〇日以内」のように出願資格を設けている高校も見受けられます。
また、公立高校では「年間の欠席日数が30日を超える場合には、審議対象とする」と明記している学校も多く存在するのが現状です。
そのため、不登校の生徒は受験が不利になってしまう可能性があります。
欠席日数が多い場合の高校受験の考え方
欠席日数が多い場合、受験が不利になる可能性はありますが、高校受験の道が閉ざされたわけではありません。
しかし、公立高校と私立高校では評価基準や受験の仕組みに違いがあり、それに応じた対策が必要です。それぞれ知っておくべきポイントを解説します。
公立高校を目指す場合のポイント
1. 調査書(内申書)を重視
公立高校の入試では、学力試験とともに調査書が評価されます。調査書には出席日数や成績、学校での活動状況が記載され、不登校による欠席日数が多い場合、評価に影響することがあります。
対策として、面接試験がある場合は、欠席理由やその期間に努力したことをしっかり説明することがポイントになります。
調査書の内容が不足しがちな場合でも、個別に配慮を求めることができる場合があるため、進路指導の先生に相談しましょう。
2. 「不登校枠」の利用
多くの自治体では、一定の条件を満たす不登校生徒向けの入試制度や特別選抜枠を設けています。この枠では、欠席日数よりも生徒の意欲や適性が重視される場合が多いです。
不登校枠について、次項で詳しく解説します。
利用を検討する場合は、不登校枠のある高校を探し、募集要項を確認しましょう。
志望動機や自己アピールをまとめておくと意欲を伝えやすくなるでしょう。
私立高校を目指す場合のポイント
1. 多様な選考方法
私立高校では、公立高校に比べて選考方法が柔軟です。
書類審査のほか、面接や作文、適性検査などを重視する学校もあります。欠席日数だけで判断しない学校が多いため、不登校経験がハンディキャップになりにくい場合があります。
受験を検討する場合は、学校説明会や個別相談会に参加し、受験の基準や方針を直接確認することが大切です。
面接では、不登校期間中に取り組んだことや現在の意欲をアピールすると良いでしょう。
2. 不登校生を積極的に受け入れる学校を探す
私立高校には、不登校生を対象とした特別なプログラムやサポート体制を整えている学校もあります。
不登校生を受け入れている実績のある学校を探し、学校の環境や支援内容がお子さんに合っているか確認してみるとよいでしょう。
不登校からの高校受験で役立つ「不登校枠」
不登校枠は、先述したとおり、不登校の生徒向けに設けられた特別な受験制度や選抜方法のことです。
通常の受験とは異なり、学力テストや内申点だけでなく、生徒の意欲や将来の可能性を重視して選抜されることが特徴です。
不登校経験のある中学生にとって、この制度は新たな進路を切り拓く大きなチャンスとなります。
不登校枠のポイント
1. 欠席日数よりも意欲を重視
一般的な受験では内申点や出席日数が重視されますが、不登校枠ではこれらの要素が選考の主要基準にはなりません。
代わりに、生徒が今後どのように学校生活を送ろうとしているのか、前向きな姿勢や意欲が評価されます。
【評価基準の一例】
・志望動機書や作文による自己表現
・面接での意欲や将来の目標
・不登校期間中の取り組みや成長
2. 不登校枠の設置校が増加中
多くの公立高校や私立高校で、不登校枠を設ける学校が増えています。
一部の学校では、不登校生の受け入れに特化した学科やコースを設けており、安心して通える環境を提供しています。
【サポート内容の具体例】
・通学頻度を選べる柔軟な時間割
・少人数制
・スクールカウンセラーや教育コーディネーターの常駐
不登校枠のメリット
通常の選考基準にしばられず、生徒の個々の特性や意欲を評価するため、自己表現がしやすいです。
また、同じような経験を持つ生徒が集まりやすいため、孤立感が薄れ、安心して学校生活をスタートできます。
サポート体制が充実しているため、不登校経験者に向けた特別なプログラムや心理的支援が整っていることが多いです。
不登校枠を利用する際の注意点
早めの情報収集が必要
不登校枠の実施校や募集要項は学校ごとに異なります。進路指導の先生や教育委員会、学校説明会を活用して情報を集めましょう。
志望動機や自己PRの準備
志望理由やこれからの目標をしっかり伝えることが大切です。作文や面接練習を事前に行い、自分の考えを整理しましょう。
学力基準を確認
学力試験が課される場合もあります。基本的な学力を維持するために家庭学習や支援機関を活用しましょう。
不登校生が進学できる高校の種類
高校の種類や特徴を把握したうえで、お子さんに合う学校を選択することが重要です。
ここでは、高校の種類とそれぞれの特徴についてご紹介します。
全日制高校(公立)
全日制の高校は欠席が多いと審議対象となるケースがあります。そのため、「不登校から公立高校は難しそう」と考える保護者もいるかもしれません。
しかし、内申点の比率が低かったり、欠席日数を考慮してくれる公立高校も珍しくありません。気になる高校があれば、担任の先生に相談してみましょう。
- 不登校枠を設けている
- 内申点より試験の点数を重視している
- 定員割れしている
学力が合格点に達していることが前提ですが、上記のような条件に当てはまる高校は、内申点が低い生徒でも比較的狙いやすいといえます。
全日制高校(私立)
全日制の私立高校は、高校によって特色が大きく異なります。
当日の試験の点数を重視する高校を選べば十分に合格を目指せるでしょう。
私立高校の特徴は、公立高校と違って複数の私立高校を受験できることです。併願校がいくつかあれば、安心して受験にのぞめるでしょう。
私立高校の中にはオープン型入試を実施している高校も見受けられます。オープン入試とは、内申点は関係なくテストの点数のみで合否が決まる試験のことです。これは、不登校の生徒でも十分にチャンスがあるといえます。
定時制高校
多くの定時制高校では4年制を導入しており、1日に4時限程度の授業を月曜日〜金曜日まで毎日行っています。
定時制高校の中には、夜間だけでなく、全日制の生徒と同じ時間帯に受けられるコースもあります。定時制高校の主なコースは以下の3つです。
- 夜間定時制:夕方〜夜に授業を実施
- 昼間二部定時制:朝・昼に授業を実施
- 三部制:朝・昼・夜に授業を実施
昼夜逆転してしまった不登校のお子さんでも、通いやすい時間帯のコースを選べることが魅力です。
また、定時制高校の特徴は「不登校を経験した生徒」「社会人になってから学び直す生徒」など、さまざまな境遇の人たちが集まっていることです。
定時制の高校であれば、似たような境遇の生徒とも出会いやすいかもしれません。
定時制高校の入試では、学力試験や面接での選考が一般的です。内申点や学力よりも学びたい意欲を重要視されるケースも多いため、内申点に自信がない不登校の生徒にもおすすめの進学先です。
さらに、不登校を経験した生徒のための定時制高校も存在します。たとえば、東京には「チャレンジスクール」と呼ばれる定時制の高校があるため、都内にお住まいの方は候補として検討しても良いかもしれません。
通信制高校
通信制高校は、不登校の生徒を多く受け入れています。
自宅学習がメインで、レポートや課題・試験をしっかりとこなせば単位を取得し卒業できます。そのため、自分のペースで学習を進められることが大きなメリットです。
定時制高校の入試では、筆記試験が行われず作文や面接だけという高校も多く見受けられます。
全日制高校の受験のように難易度が高くないため、学業面の不安がある不登校の生徒でも比較的受験しやすいといえます。
「毎日学校に登校することが難しい」というお子さんであれば、通信制高校への受験を視野に入れてみても良いでしょう。
不登校の「高校選びのコツ」
不登校の生徒が志望校を選ぶ際の基準を4つご紹介します。
①学校の場所で選ぶ
「自宅から徒歩圏内の高校」「アクセスしやすい高校」など、高校の立地を基準に志望校を選ぶと良いでしょう。
通学のしやすさを考えると、自宅からできるだけ近い高校が良さそうと考える方もいるかもしれません。
しかし、お子さんが「人間関係をまたイチから始めたい」というのであれば、自宅から比較的遠い高校を選ぶこともひとつの手です。
このような場合は、毎朝無理なく通学できるかどうか通学のシミュレーションをしてみてください。電車の混み具合・通学時間・朝起きる時間などは重要なポイントです。
最初は大変でも慣れてきたら遠くても問題ないという生徒もいます。通学時間や交通手段など、お子さんが無理なく通える高校を選ぶことが大切です。
②登校日数・授業時間で選ぶ
登校日数や1日の授業時間で志望校を選んでみても良いでしょう。
たとえば、通信制高校であれば、登校日は「週に1回」「年に4回」など学校によって異なります。
「登校日が何日であれば通えそうか」という観点でお子さんと話し合ってみましょう。
全日制の高校のように、6時限目まである授業は体力的に難しいという場合は、定時制高校も選択肢のひとつとしてあげられます。
定時制高校では、1日4時限目までという高校が一般的です。卒業までに時間はかかりますが、お子さんに合う時間帯に通学でき、空いた時間は好きなことに取り組むことも可能です。
各学校の登校日数や授業時間などを考慮し、お子さんと一緒に志望校を選んでみてください。
③サポート体制の充実度で選ぶ
志望校選びは、学習面や心のケアなどサポート面が充実しているかどうかも大切です。
「高校に進学したものの、また学校にいけなくなってしまった…」という事態をできる限り防ぐためです。
不登校の生徒のサポートが手厚い高校であれば、保護者も安心できるでしょう。
「カウンセラーが常駐している」「個別に勉強を指導してもらえる」「保護者へのサポート体制も充実している」などの高校のサポート体制を見比べてみてください。
④不登校の原因別で選ぶ
不登校の原因からお子さんに合った志望校を選んでみるのもひとつの方法です。
志望校の選び方の例をまとめました。
必ずしも不登校の原因を取り除けるわけではありませんが、お子さんの状況に合っているものを参考にしてみてください。
【志望校の選び方の例】
- 生活リズムが乱れている:昼や夕方から授業が受けられる定時制高校
- 人間関係が不安:知り合いができる限りいない高校や通信制高校
- 集団生活が苦手:登校日が少ない通信制高校
- 勉強についていけない:学力レベルに合った授業が受けられる高校
- 自分でもよくわからない:不登校の生徒に対するサポートが手厚い高校
- 学校の雰囲気に合わない:自由な校風の高校
高校受験の志望校を決める際のポイント
高校選びはお子さんの将来を左右する大事な決断のため、慎重になってしまうものです。
「この高校は本当に子どもに合っているのだろうか」と悩む保護者も多いでしょう。
高校選びに失敗しないためにも、志望校を決める際のポイントを押さえておきましょう。
信頼できる先生に相談する
志望校を決める際は、信頼できる先生に相談することをおすすめします。
学校の先生は、これまでに多くの生徒の進路相談に乗っています。
志望校がいくつか絞れているのであれば、各高校の特色や受験の難易度、卒業後の高校生活などを踏まえてアドバイスをしてくれるでしょう。
もし気になる高校が決まっていない場合でも、今の内申点や成績で目指せそうな高校を提案してくれるでしょう。
しかし、志望校を選ぶ際はお子さんの意見が一番大切です。
先生の意見を参考にしながら、お子さんと話し合ってみてください。
受験についてインターネットで調べてもわからないことがあるかもしれません。不安に感じることは、先生に積極的に質問して解決していきましょう。
説明会に参加して雰囲気をつかむ
気になる高校があれば、説明会に参加してみましょう。
先生の様子や学校の雰囲気など、実際に体験してみなければわからないこともあります。
説明会では、在校生が高校生活を話してくれる場合もあるため、お子さんも入学後の学校生活をイメージしやすいです。
また、説明会は保護者にとっても受験に関する情報を得られる重要な機会です。
学校の仕組み・卒業後の進路・サポート体制・学費など気になるポイントは学校の関係者に直接質問できます。
お子さんが高校生活を安心して過ごせる環境かどうかを確認しておきましょう。
説明会に参加したくないというお子さんもいるかもしれません。もしお子さんと一緒に説明会に参加できない場合は、保護者のみの参加が可能な学校も多く見受けられます。
保護者だけでも先に情報収集しておき、お子さんのタイミングに合わせて後日話し合うこともひとつの手です。
学校の個別説明会だけでなく、不登校の生徒に向けた合同説明会なども開催されているため、ぜひチェックしてみてください。
塾の講師や家庭教師に相談する
進路を選択する際に学習面の不安がある場合は、不登校の生徒向けの塾や家庭教師に相談してみましょう。
塾や家庭教師では、一人ひとりの学習状況に寄り添い、適切なサポートをしてくれます。
「志望校は頑張れば合格できるレベルなのか」「合格するためにはどのように勉強を進めていけば良いのか」といった学習面での具体的なアドバイスをしてくれます。
学校に通っておらず、定期テストなども受けていない場合、お子さんが自分自身の学力レベルを把握することは難しいでしょう。
もちろん、学力が上がってきたら志望校をあげることも可能です。サポート体制が充実している塾や家庭教師に相談したうえで志望校を決定しても良いかもしれません。
全日制高校受験のハードルとその乗り越え方
先述したように、高校入試において内申点は合否に大きく関わります。
高校受験を成功させるためにも、できる限り内申点を上げておきたいところです。
ここでは、不登校でも内申点を上げる方法をご紹介します。
「出席扱い」となる日数を増やす
出席日数を増やすことは、内申点を上げる方法のひとつです。
調査書には欠席日数も記載されるため、できる限り出席日数は増やしておいた方が良いでしょう。
「出席扱い制度」は、不登校の生徒が教室以外の場所で学習活動を行った場合に、その活動を学校での出席とみなす制度です。
たとえば、保健室登校や別室登校も出席扱いとなります。そもそも学校に通うのが難しい場合は、以下の3つの方法があります。
- 教育支援センター(適応指導教室)を利用する
- フリースクールに通う
- 自宅でのICT学習
ただし、出席扱いと認められるための要件はそれぞれ異なる場合があるため、まずは学校の先生に相談してみてください。
レポートや課題を提出する
内申点を上げるためには、レポートや課題を提出するようにしましょう。
内申点を決める要素のひとつである「主体的に学習に取り組む態度」は、数値で評価しやすい提出物が対象となることが多いためです。
単元の内容をまとめたレポートやプリント、問題集などの提出物は、期限内に提出することが大切です。
提出物の期限に間に合わせるために、問題集の答えを丸写しして提出するお子さんも見受けられます。しかし、提出物の内容も評価されているため、提出物をとりあえずこなすだけでは評価アップにつながらない場合もあり注意が必要です。
提出物の提出で慌てないためにも、お子さんの提出物について定期的に声をかけてあげると良いでしょう。
定期テストを受ける
内申点をできる限り上げるには、定期テストを受けるようにしましょう。
定期テストは内申点に大きな影響を与えるため、高い点数が取れれば内申点アップにつながります。
保健室などの別室で定期テストを受けられたり、自宅でテストを受けられたりする場合があるため、学校と相談してみましょう。
「定期テストを受けないと内申点がつかない」という学校もあるようです。たとえ良い点数が取れないとしても、内申点を上げるために定期テストを受けておくと良いでしょう。
英検・漢検・数検などの検定を取得する
英検や漢検、数検を取得することも内申点を上げる方法のひとつです。
高校入試では、これらの検定を取得している生徒は内申書で加点される場合があります。
優遇される級の基準は、高校によってさまざまです。
たとえば「漢検の◯級以上を取得している受験生には、国語の内申点を1加点する」という基準を設けている高校も見受けられます。
また、漢検などの検定は内申点への加点だけでなく、当日の入試の点数に加点されたり、合否を判断する材料として使用されたりしています。
実際に、日本漢字能力検定協会によると、入試の際に漢検を評価している学校は、全国の高校の約半数にのぼるのだそうです。
「内申点アップのために少しでもできることがないか?」とお考えの方は、お子さんと相談し、検定の取得を視野に入れても良いかもしれません。
不登校の中学生向け受験勉強の対策
「どのように受験対策したら良いのかわからない」という不登校のお子さんもいるかもしれません。
ここでは、不登校の中学生ができる受験勉強の対策方法についてご紹介します。
塾・家庭教師を利用する
独学での受験勉強が難しい場合は、塾や家庭教師の利用も検討してみましょう。
お子さんが対面式の授業や集団での授業が苦手な場合は、オンラインで指導している講師も選べます。
また、不登校向けの塾や家庭教師は、学習面のサポートだけでなく、メンタル面でのケアが充実しているところも多いです。
受験が近づくにつれ、お子さんがいつも以上にストレスを感じてしまうかもしれません。そのため、精神面でのフォローが手厚い塾や家庭教師を選べば、お子さんだけでなく保護者も心強く感じるでしょう。
オンライン教材を利用する
受験対策として、動画などのオンラインで学べる教材の利用も効果的です。
オンライン教材のメリットは、苦手分野の動画を繰り返し視聴できたり、前の単元をさかのぼって学習したりできることです。
さらに、タブレットを使用してゲームのように学べる教材もあるため、勉強が苦手なお子さんでも取り組みやすいといえます。
「自分のペースで勉強したい」「好きな時間に勉強したい」というお子さんの場合は、オンライン教材の利用を検討してみてください。
高校進学のために親ができること
不登校の生徒が高校進学を目指す際、保護者が果たす役割は非常に重要です。保護者ができる6つのサポートを紹介します。
1. お子さんの気持ちを理解する
対話を大切にする
お子さんの意見や希望を丁寧に聞き、不安や悩みに寄り添いましょう。
「進学しなければならない」と押し付けるのではなく、「どの道を選んでも応援する」という姿勢を伝えることで、進学に対するプレッシャーを和らげましょう。
目標の共有
お子さんと一緒に「高校でどんな生活を送りたいか」を考えましょう。
2. 情報収集と高校選びのサポート
選択肢を広げる
通信制高校、定時制高校、不登校枠のある学校、サポート校など多様な進学先を調べましょう。
学校の雰囲気やサポート体制を直接確認するため、お子さんと一緒にオープンスクールや説明会に参加するのがおすすめです。
また、適切な進学先を選ぶために学校の進路指導担当や教育相談窓口に相談してみましょう。
3. 学習面でのサポート
家庭学習の環境づくり
静かで集中しやすい学習スペースを整えてあげましょう。
教材や学習サポートの提供
お子さんが使いやすい教材を用意します。必要に応じて家庭教師やオンライン学習サービスを利用するとよいでしょう。
学習計画の立案
お子さんのペースに合わせた無理のない学習計画を一緒に作成しましょう。
4. 心理的サポート
ポジティブな声かけ
お子さんの小さな成功を褒め、自信を育むことが大切です。
不安や失敗は保護者も共有し、「一緒に乗り越えよう」という姿勢を示すことで、お子さんが安心して自分の気持ちを話してくれる可能性があります。
専門家の活用
必要であればスクールカウンセラーや心理カウンセラーに相談しましょう。
5. 子どもの自立を助ける
自己管理の促進
お子さんが自分でスケジュールを立てたり、通学の準備をできるように見守りましょう。
適度な役割の付与
家庭内での小さな役割(家事の手伝いなど)を与え、責任感を育てましょう。
6. 高校進学後を見据えたサポート
新生活の準備
通学ルートの確認や学用品の準備を手伝い、安心して高校生活をスタートできる環境を整えましょう。
継続的なフォロー
高校入学後もお子さんと進捗を確認し、学校での生活について話し合うとよいでしょう。
【出典一覧】
*1 学習評価に関する資料 文部科学省
参考箇所:観点別学習状況の評価について
更新日:2024/12/26