サポート校は、通信制高校に通うお子さんを文字通り「サポート」する学校です。
30年ほど前は全国に一校もありませんでしたが、通信制高校に通うお子さんの増加に伴い、今や50以上の通信制高校がサポート校と提携するまでになりました。
この記事では、サポート校とはどんな学校なのか、カリキュラム・学費から、フリースクールとの違いやそれぞれのメリット/デメリットまで詳しく解説します。
通信制高校サポート校とは?
「通信制高校サポート校」(別名サポート校)は、通信制高校の生徒を対象に、卒業に向けたサポートを行う学校です。
学びのスタイルも多様化している現代、高校も全日制高校に加えて、通信制高校・定時制高校・単位制高校など、さまざまな選択肢があります。
通信制高校は、「自分のペースで学べる」「毎日登校する必要がない」などのメリットから、進学先に選ぶお子さんも増えています。
(*出典1)文部科学省|高等学校通信教育の現状について
一方で、「卒業率が低い」「卒業後の進路が不安定」などのデメリットもあるのが現状です。
これら通信制高校が抱える課題点を解決するのがサポート校です。
なお、「校」とついていますが、運営しているのは学習塾・専門学校など民間の教育機関で、学校教育法に基づいた機関ではありません。
▶通信制高校はお子さんが不登校になった際の選択肢。仕組み・メリット・注意点を解説
サポート校の役割・カリキュラム
サポート校の役割は主に以下の3つです。
- 卒業のための学習支援
- カウンセリングなどのメンタルサポート
- サポート校独自のカリキュラムによる学習
卒業のための学習支援
サポート校は週2~5日程度授業を行い、卒業に向けた学習の支援を行います。
サポート校の教員は通信制高校のカリキュラムに詳しく、レポート添削やスクーリング対策など、細かいところまで指導を受けられるのが特徴です。
1VS1や少人数での指導を行っているところもあります。
カウンセリングなどのメンタルサポート
学習面だけでなく、メンタルサポートとしてカウンセリングなどを実施しているのも特徴です。
通信制高校の生徒には、友達や親には相談しづらい悩みを抱えるお子さんも多くいます。
そんなとき、悩みを打ち明けられる教員やカウンセラーの先生が身近にいるのは心強いでしょう。
不登校などが原因で通信制高校を選んだお子さんでも、安心して通いやすいです。
サポート校独自のカリキュラム
サポート校独自のカリキュラムとして、進路支援として進学希望者には大学受験対策を、就職希望者には職場体験の紹介などを行うところもあるようです。
また、教科にとらわれない分野を学べるサポート校もあります。
中には、プログラミングやイラストなどの知識を得られたり、アーティストや芸能人・声優になるためのコースがあったりと、学校ごとにさまざまです。
このように、学習・メンタルの両方から支援を行い、通信制高校のお子さんを卒業までつなげるのが、サポート校の役割といえるでしょう。
雰囲気はサポート校によって異なるので、入学前に一度見学に行っておくことをおすすめします。
サポート校の基本情報
授業時間
サポート校の標準的な授業時間は、週25時間程度です。
1コマ45〜50分が基本で、休憩時間を適宜設けています。
朝や夜間に設定しているサポート校もあり、通学しやすい時間帯を選べるのが特徴です。
通信制高校には、中学時代の不登校などが原因で、一斉授業に出席するのが難しい生徒もいるので、サポート校ではそういった状況にも配慮して時間割を組んでいます。
授業日数はお子さんの希望に合わせて調整可能で、フリースクールのように自由な出席形態をとる学校もあります。
学費
サポート校の学費は、大きく分けて入学金・授業料・その他費用の3つです。
その他費用には、施設費やスクーリング費・教材費などが含まれます。
登校日数や受講するコースによって変わりますが、目安は以下の通りです。
入学金 | 5~20万円 |
授業料 | 30~70万円 |
その他費用 | 5~10万円 |
初年度合計 | 40~100万円 |
全国のサポート校
サポート校は全国各地に展開されています。
詳細なデータはないので、具体的な数はわかりませんが、文部科学省の調査によると50以上の通信制高校に提携先のサポート校があります。
(*出典2)文部科学省|広域通信制高等学校の展開するサテライト施設に関する調査結果(平成29年度)
また、複数の通信制高校と提携している学校や、提携先の高校以外の生徒も利用できる学校もあるようです。
全国どこに住んでいても、お子さんに合わせたサポート校を見つけられるでしょう。
サポート校とフリースクールの違い
サポート校とフリースクールには大きく3つの違いがあります。
それぞれ解説していきます。
①役割の違い
サポート校の役割が、通信制高校生の学習支援であるのに対して、フリースクールは「不登校や学校になじめないお子さんの居場所」としての一面が強いです。
サポート校では、通信制高校のカリキュラムに合わせて教科指導が行われます。フリースクールは、ゆるやかな関わりの中での学びが基本です。
また、サポート校は進路保障を念頭に置いていますが、フリースクールは当面の精神的安定を優先している点も異なります。
②通う生徒の違い
役割の違いに伴い、通っている生徒にも違いがあります。
多くのサポート校は、入学資格として「通信制高校在籍者」「中学卒業見込者」などを設けています。
なので、生徒のほとんどは中学3年生〜高校生です。
一方でフリースクールは入学資格はなく、小中学生から高校生まで幅広い層が通っています。学年による差が少ないのがサポート校の特徴です。
また同世代でも、サポート校は学習目的、フリースクールはどちらかというと居場所目的のお子さんが多いので、多少学力にも差はあるでしょう。
③費用の違い
費用面にも差があり、サポート校は年間40〜100万円、フリースクールは年間20〜50万円程度と、ややサポート校の方が高めです。
通信制高校によっては、提携先のサポート校を利用する場合、サポート校の学費を少し抑えられる場合もあります。通学を検討する際は、一度学校やサポート校に確認してみるとよいでしょう。
サポート校のメリットは?
サポート校のメリット・デメリットをご紹介します。
後ほどご紹介するフリースクールのメリット・デメリットもふまえて、選ぶ際の参考にしてください。
メリット①:学習のサポートが手厚い
メリット②:生活リズムを保ちやすい
メリット③:主要科目以外の知識・技術も身につけられる
デメリット①:費用が高い
デメリット②:授業時間に縛られる
メリット①:学習のサポートが手厚い
サポート校の最大のメリットは、通信制高校のカリキュラムに合わせた手厚い学習サポートを受けられることです。
通信制高校では自学自習が中心になりがちですが、それだけではレポートや期末試験・スクーリングなどをクリアできず、卒業が難しい生徒もいるでしょう。
サポート校では、通信制高校のカリキュラムに合わせて、レポート添削やスクーリング対策など、きめ細かい指導が受けられます。
卒業に向けて効率的に学習を進められる点が魅力です。
メリット②:生活リズムを保ちやすい
サポート校は生活リズムを保つ手助けにもなります。
通信制高校に通うお子さんは、自宅で勉強しているだけでは生活のメリハリがつきにくく、生活リズムを崩しがちです。
サポート校では週に数日の登校日があるので、規則正しい生活習慣を身につけるのに有効でしょう。
メリット③:主要科目以外の知識・技術も身につけられる
サポート校の中には将来のキャリアに役立つ専門科目を設置している学校もあります。
一部の例をご紹介します。
- プログラミング
- デザイン
- 調理
- 美容
- 福祉
このような専門的な知識や技術を学べることは、お子さん自身が興味をもった分野を勉強できたり、就職で有利になったりと、さまざまなメリットがあります。
サポート校のデメリットは?
サポート校にはデメリットといえる点があります。それぞれ確認し、ご家庭の方針などと照らし合わせてマッチしているかを見ていくのがよいでしょう。
デメリット①:費用が高い
サポート校の学費は年間40〜100万円と、フリースクールなどと比べるとやや高額です。
通信制高校の学費も合わせると、実際にかかる費用はより多くなるでしょう。
「授業時間を減らす」「奨学金を活用する」など、学費を削減する方法はあるので、通う場合は一度確認してみることをおすすめします。
デメリット②:授業時間に縛られる
「生活リズムを保ちやすい」というメリットの反面、時間の融通が効かないというデメリットもあります。
授業時間に縛られるのは、不登校やアルバイトなどの理由から通信制高校を選んだお子さんにとっては、メリットが薄れてしまうかもしれません。
授業時間や登校日数をお子さんの生活に合わせて調整することが大切です。
フリースクールのメリット・デメリット
フリースクールにも一長一短がありますが、通信制高校生や不登校のお子さんにとっては有効な選択肢の一つといえるでしょう。
メリット①:転校の必要がない
メリット②:自由に時間を使える
デメリット①:学習レベルが低い場合がある
メリット①:転校の必要がない
フリースクールのメリットは、今通っている学校をやめる必要がない点です。
通信制高校+サポート校を選ぶ場合は転校の必要がありますが、フリースクールは学校に在籍したまま通えるため、今の学校に戻る選択肢を残せます。
また、フリースクールでの活動が在籍校の出席日数としてカウントされるケースもあります。
メリット②:自由に時間を使える
フリースクールには毎日登校する義務がないため、自分のペースで通えます。
拘束時間が少ないのも魅力で、のびのびと過ごせますし、お子さんの興味・関心のあることを追求しやすいでしょう。
お子さんの状況に合わせて通う時間を調整しやすいのも特徴です。
デメリット①:学習支援が不足する場合がある
フリースクールの学習支援は必ずしも十分ではない場合があります。
職員や他のお子さんとの関わりの中での学びが基本となるため、大学進学などを目指す場合は学力面でのフォローが手薄な点には注意が必要です。
教科指導や受験対策を求める場合は、サポート校に通うか、補習塾との併用をおすすめします。
フリースクールについては、以下の記事で詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。
▶フリースクールとは?基本情報から学費・進学可否まで幅広く解説
まとめ
今回は、サポート校の概要や基本情報と、フリースクールとの違いやそれぞれのメリット・デメリットについて解説しました。
【サポート校のメリット】
①学習のサポートが手厚い
②生活リズムを保ちやすい
③主要科目以外の知識・技術も身につけられる
【フリースクールのメリット】
①転校の必要がない
②自由に時間を使える
サポート校は、通信制高校のお子さんを学力面・メンタル面の両方から支援することを目的とした学校です。
通信制高校に通うお子さんにとっては、サポート校は「塾」、フリースクールは「居場所」の役割が近いでしょう。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを参考に、お子さんに合った選択をしていきましょう。
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【出典一覧】
*1 文部科学省|高等学校通信教育の現状について
参考箇所:通信制高校サポート校とは?
*2 文部科学省|広域通信制高等学校の展開するサテライト施設に関する調査結果(平成29年度)
参考箇所:サポート校の基本情報