近年、不登校は社会問題として取り上げられることが増え、頻繁に見聞きする話題の1つとなっています。
- 子どもが最近、不登校気味かも…
- 不登校のことなんて気にしていなかったが、最近気になってきた
- 不登校の数はどのくらい増えているのか知りたい
今回はこのような悩みや疑問を持つ方々に向けて、文部科学省が発表した不登校児童生徒数の推移をわかりやすく解説します。
また不登校の原因や対処法などもお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
不登校児童生徒数の推移はどうなっている?
文部科学省が2023年10月4日に公表した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果を見ていきます。
2022年度の不登校児童生徒数は299,048人と過去最多の数字となっており、前年度から54,108人(22.1%)増加しています。不登校の割合としては、小学校で約60人に1人、中学校で約17人に1人が不登校となっています。直近2年間で、不登校増加率は急激に上昇しており、大きな問題です。また小・中・高校で認知された、いじめ件数も過去最多の681,948件です。
高等学校における不登校生徒数は、60,575人で前年から9,590(18.8%)増加しています。
不登校児童生徒数の推移グラフを見ると、平成29年までは横一線で変化がありませんでしたが、平成30年から急激に上昇していることがわかります。
文部科学省の調査によると、近年の不登校増加傾向の原因を特定することは難しいのですが、主に以下の理由によって、「学校へ行かない」という選択肢への捉え方が変わってきたことが影響しているようです。
- コロナ禍による生活環境の大きな変化によって生まれる心と体の不調
- 児童生徒の休養の必要性を明示した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の趣旨の浸透
(出典1*)文部科学省|令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
不登校の生徒が増えているわけは?
不登校児童生徒数の推移からわかる通り、近年、不登校児童生徒数は増加の傾向にあります。
2020年ごろから、コロナ禍による臨時休校やさまざまな制約によって「生活リズムが乱れやすく、交友関係を築くことが難しくなり、登校意欲が湧きにくい」状況に陥るお子さんが増えてきました。保護者や世間も「学校に行かない」という選択肢をより尊重するようになってきています。
このことが近年の不登校児童生徒数の急増の原因の1つと考えられています。
また、不登校の原因としてさまざまな要因が挙げられます。
以下では不登校の原因になりうるものを「学校・家庭」の2つに分けてご紹介します。
学校でのこと
不登校の原因で最も多いのが学校で起きたトラブルです。
なかでも、いじめや友人とのいざこざなど、人間関係のトラブルが原因となることは多いでしょう。
また他にも、以下の原因などが挙げられます。
- 学校の先生との関係が悪い
- 学校での勉強が面白くない
- 上級生が怖い
学校でのトラブルは、保護者の目が届きにくいため、早期に気づくのは難しいかもしれません。日頃からお子さんとのコミュニケーションを増やすことを心がけましょう。
家庭内でのこと
学校内でのトラブルだけでなく、家庭内で問題が起きて、学校へ行くのが嫌になるケースもあります。
- 親の言うことを聞きたくない
- 両親の仲が悪くて憂鬱
- 兄弟と比べられたくない
こういった理由でも、センシティブな性格になり、学校へ行けなくなることがあります。
保護者が考えている以上に、お子さんは小さなことを気にしているかもしれません。一度家庭内でのお子さんとの接し方を振り返ってみましょう。
不登校のお子さんに保護者ができること
不登校のお子さんに、できるだけ早く学校へ行ってほしいと思う気持ちもわかります。
しかし、お子さんの気持ちを無視して登校を促しても、不登校が解決に向かうことは難しいでしょう。
ここでは、不登校のお子さんへの効果的な対応を3つ紹介します。
- 自己肯定感を守る
- 生活リズムを整える
- 学校以外の可能性を与える
自己肯定感を守る
お子さんの自己肯定感を傷つけない対応が大切です。
不登校のお子さんは、「自分は何をしてもダメだ」、「誰も自分を信じてくれない」と考える傾向にあります。そのために、外の世界へ出ることにハードルがあるのです。
しかし、お子さんの自己肯定感は、保護者からのポジティブな対応で高まるものです。
毎日の会話の中で意識的に笑顔で接するなど、小さなことからでもお子さんの気持ちに前向きな変化を期待できます。
お子さんの自己肯定感が高まり、「前向きにチャレンジしてみよう」となると、「学校へ行けるかもしれない」という気持ちが生まれてくるかもしれません。
生活リズムを整える
お子さんの生活リズムが崩れないようにサポートしましょう。
昼夜逆転すると、朝起きられないために学校へ行けず、悪循環に陥り、不登校が長期化する原因ともなります。
昼夜逆転は体の健康に限らず、心の健康にも良くありません。徐々に前向きな気持ちが失われ、学校へ行く気力もなくなっていきます。
保護者は、寝る時間を一緒に決める、朝ごはんを作るといったことでお子さんをサポートできます。また、自力で治すのが難しい病気の恐れがある場合は、医師や専門家に一度相談してみましょう。
学校以外の可能性を与える
不登校になると、家族以外とコミュニケーションを取る機会が減り、外に出ることにより不安を覚えることがあります。しかし、学校だけが人と関われる場所ではありません。
塾やその他の習い事でも人との関わりを持てます。
学校以外の社会に触れることで、閉鎖的な気持ちから解放されることもあります。
1つの選択肢として、フリースクールを検討してみてはいかがでしょうか。
フリースクールは、不登校になったお子さんが通うための民間教育施設です。各施設によって特色があるため、以下の記事を参考にしてみてください。
フリースクールとは?基本情報から学費・進学可否まで幅広く解説
まずは、「お子さんを第一に思って、寄り添う」ことを意識してみてください。
不登校の原因や対処法は、ただ1つに決まっているものではありません。そのため、お子さんに寄り添い会話をすることで、今お子さんがどんな状況で、現状をどのように考えているのかを少しずつ理解していくことが大切です。
以下の記事では、不登校のタイプや原因、より具体的な対応方法を知ることができるため、ぜひご一読することをおすすめします。
不登校のお子さんへの対応はどうする?タイプ別、年齢別に解説します
まとめ
今回は文部科学省が発表した不登校児童生徒数の推移をグラフとともにご紹介しました。
近年の急激な不登校児童生徒数の増加は、コロナ禍によって「学校へ行かないこと」への世間の捉え方が変化しているという考えもあります。
保護者は不登校に関して、お子さんの気持ちを無視して登校させるのではなく、
「お子さんを第一に考え、寄り添う」
ことを念頭に置いて、ゆっくりと着実に問題解決に取り組んでいきましょう。